マイナ保険証への完全移行|2026年7月末で経過措置終了、8月以降の医療費トラブルを避けるためにできること
※ 2026年6月時点の情報です
「12月で健康保険証が廃止になったあと、なんとなく古い保険証で受診できていたけれど、本当はどうすればいいのか分からない」——そんな状態のまま2026年の夏を迎えようとしている方は少なくないのではないでしょうか。
厚生労働省は2026年3月、期限切れの従来型健康保険証で保険診療を受けられる暫定措置を7月末まで延長すると発表しました。一方で上野賢一郎厚生労働大臣は同じ会見で「もうこれ以上延長することは考えていません」と明言しています。つまり2026年8月以降、医療機関の窓口で通常どおりの自己負担割合(3割など)のまま保険診療を受けるには、マイナ保険証(健康保険証として利用登録したマイナンバーカード)か資格確認書のどちらかを手元に用意しておく必要があるということです(どちらも持たずに受診した場合は、窓口で10割を支払って後日払い戻しを受ける「償還払い」になります)。
この記事では、8月の医療費トラブルを避けるために7月末までに確認・準備しておきたいことを、厚生労働省の公表情報をもとに順に整理します。
1. 何が起きるのか — 2026年7月末で経過措置が終了
まずは時系列を整理しておきます。
2024年12月2日:従来の健康保険証の新規発行が停止
政府広報オンラインによると、2024年12月2日以降、従来の健康保険証は新たに発行されなくなりました。ただし手元の保険証は有効期限までの間、最長1年間使用できる経過措置が設けられていました。
2025年12月1日:手元の従来型保険証の有効期限が満了
厚労省の案内では、従来の健康保険証は令和7年12月1日をもって失効し、12月2日以降の医療機関受診ではマイナ保険証か資格確認書の提示が必要とされました。
2026年7月31日:期限切れ保険証の暫定措置が終了
12月以降も、医療機関がオンライン資格確認システムで資格を確認できれば、期限切れの保険証で受診しても通常の自己負担割合で対応できる暫定措置が続けられてきました。この暫定措置の期限が2026年7月末まで延長され、それ以降は再延長しない方針が示されています。
2026年8月1日以降:マイナ保険証か資格確認書が必須
8月以降は、マイナ保険証か資格確認書を提示して受診するのが基本の流れになります。どちらも持たずに、期限切れの紙の保険証だけを持って医療機関に行くと、その場では保険診療として扱えず、窓口で医療費の全額(10割)を一旦支払い、後から加入保険者に請求して払い戻しを受ける「償還払い」になります。
2. 8月以降に必要なのはどっち?マイナ保険証と資格確認書
8月以降に医療機関で提示するのは、次のどちらかです。
マイナ保険証(健康保険証として利用登録したマイナンバーカード)
マイナンバーカードを持っていて、健康保険証として利用登録を済ませた方が対象です。医療機関に設置された顔認証付きカードリーダーにカードを置くと、本人確認と保険資格の確認が自動で行われます。
資格確認書
マイナ保険証を持っていない方向けの代替書類です。厚労省は当分の間、マイナ保険証を保有していない方全てに、「資格確認書」が無償で申請によらず交付されますと案内しており、申請手続きをしなくても加入医療保険者から自動で送られてきます。
資格確認書の有効期限は5年以内で保険者が設定することになっており、医療機関・薬局で従来の健康保険証と同じように提示して使えます。
どちらを使うかは選べる
「マイナンバーカードは持っているけれど健康保険証として使うのは不安」という方も、健康保険証としての利用登録をしなければ資格確認書が自動で交付されます。8月以降は「どちらか1枚は手元にある」状態を作っておくのがゴールです。
3. 自分の登録状況を確認する3つの方法
「自分はマイナ保険証になっているのか、資格確認書が届いているのか」を、まずは確認するところから始めます。
① マイナポータルアプリで確認する
スマートフォンにマイナポータルアプリをインストールしてマイナンバーカードを読み取り、ホーム画面の「証明書」エリアから「健康保険証」を開くと、利用登録の有無が確認できます。2026年1月29日に従来の「健康保険証利用登録サイト」はマイナポータルの『健康保険証』画面へ統合されたため、登録の確認と新規登録は同じ画面から行えます。
② 医療機関の顔認証付きカードリーダーで確認する
医療機関の受付にあるカードリーダーにマイナンバーカードを置くと、登録状況が画面に表示されます。登録されていない場合は同じ画面でその場で登録できるため、次回の通院や薬の受け取りのついでに済ませてしまうのも選択肢です。
③ 手元の郵便物・書類を確認する
マイナ保険証の利用登録をしていない方には、加入医療保険者から資格確認書が送られています。後期高齢者医療制度の被保険者の場合、令和8年7月末までの暫定措置として申請不要で資格確認書が交付されており、自治体・広域連合からの郵便物の中に同封されているケースがあります。会社員(健保組合・協会けんぽ)の方は勤務先または健康保険組合から、自営業や無職の方は市区町村の国民健康保険担当課から郵送される流れです。
4. 7月末までにやっておきたいアクション
確認の結果に応じて、必要なアクションが分かれます。
マイナ保険証として利用登録する場合の3ルート
厚労省はマイナンバーカードを健康保険証として利用登録する方法として、①医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダー、②マイナポータル、③セブン銀行ATMの3つを案内しています。マイナンバーカードと、カード受け取り時に設定した4桁の暗証番号があれば、いずれの方法でも数分で登録は完了します。
マイナンバーカード自体を持っていない場合
マイナンバーカード総合サイトによると、申請から通常は概ね1ヵ月で市区町村から交付通知書がご自宅に届く運用です。7月末の経過措置終了までに間に合わないと判断したら、無理にマイナ保険証ルートを目指さず、加入医療保険者から自動交付される資格確認書を待つ判断も有効です。手元に資格確認書が届いていない場合は、勤務先・健康保険組合・市区町村の国保担当課に「資格確認書はいつ届くか」を問い合わせておきます。
マイナンバーカードの電子証明書の有効期限を確認する
マイナンバーカードには、カード本体の有効期限と電子証明書の有効期限の2つがあります。公的個人認証サービスポータルによると、公的個人認証サービスで使用する電子証明書の有効期間は、電子証明書発行の日から5回目の誕生日までと案内されています。電子証明書が切れているとマイナ保険証として利用できないため、登録済みでも有効期限を確認しておきます。期限切れの2〜3か月前に通知が郵送される運用です。
引っ越し・転職・退職を予定している場合
加入する保険者が変わるタイミング(就職・転職・退職・引っ越し)では、保険資格の切り替え手続きが必要です。マイナ保険証の場合は資格情報がオンライン側で自動更新されるため切り替え自体の手間は少ないですが、退職して国民健康保険に切り替える場合は資格取得の届出(市区町村役場)が別途必要です。資格確認書を使っている方は新しい保険者から新しい資格確認書が交付されるため、古い資格確認書はそのまま使えなくなる点に注意します。
5. 手続きを忘れて医療機関にかかったときの扱い
8月以降、マイナ保険証も資格確認書も持たずに医療機関を受診すると、その場では保険診療として扱えず、原則として医療費の全額を窓口で支払うことになります。
一時的に10割負担となり、後日「療養費」として払い戻しを受ける
健康保険の資格自体が有効であれば、後日加入保険者に「療養費支給申請書」を提出することで、自己負担分(通常3割)を差し引いた金額が払い戻されます。これを「償還払い」と呼びます。ただし申請から振込まで一定の時間がかかるうえ、窓口での一時的な持ち出しは大きな負担になります。具体的な支給時期は加入している健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の国民健康保険など保険者ごとに異なるため、必要が生じた際は加入保険者の案内でご確認ください。
高額療養費の自動適用も受けられなくなる
後述しますが、マイナ保険証で受診すれば、医療費が高額になった場合の自己負担上限(高額療養費制度の限度額)が医療機関の窓口で自動的に適用されます。マイナ保険証も資格確認書もない状態では、まず10割を支払い、その後で高額療養費の払い戻しを別途申請する流れになり、立て替え期間と手続きの両方が増えてしまいます。
子ども・家族の分も同じタイミングで確認しておく
家族の中で誰か1人だけが対応済みで、子どもや配偶者の手続きが止まったままになっているケースが見落とされがちです。家族全員分の状況を1度に確認しておくと、夏休みに子どもが急に体調を崩したような場面でも慌てずに済みます。
6. マイナ保険証で家計にうれしい3つの仕組み
マイナ保険証には、紙の健康保険証や資格確認書にはない家計面でのメリットがあります。
① 限度額適用認定証なしで高額療養費の自己負担上限が窓口適用
入院や手術などで医療費が高額になったとき、高額療養費制度の自己負担上限を窓口で適用してもらうには、従来は事前に「限度額適用認定証」を加入保険者に申請して取り寄せる必要がありました。マイナ保険証を使えば『限度額適用認定証』がなくても、公的医療保険が適用される診療に対しては限度額を超える分を支払う必要がありません。
申請の手間がなくなるだけでなく、急な入院で限度額適用認定証を取りに行く時間がないという場面でも、窓口で立て替える金額を抑えられます。
② マイナポータルとe-Taxの連携で医療費控除の手続きが簡素化
確定申告で医療費控除を申告するには、1年間の医療費の領収書を集めて医療費明細書を作成する必要がありました。マイナポータルとe-Taxを連携すると、領収証の管理が不要になり確定申告時の手続きが簡潔化されます。
国税庁の案内によると、医療費控除では1年間に支払った医療費の合計から保険金等で補てんされる金額を差し引いた額が、10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額)を超えた分が控除対象になります。家族の医療費がこの起点額を超えそうな年は、夏のうちにマイナポータルから医療費通知情報の取得設定を済ませておくと、翌年の確定申告がスムーズです。
③ 救急搬送時の情報共有「マイナ救急」が令和7年10月から全国展開
令和7年10月から、マイナンバーカードを活用し搬送中の適切な応急処置と病院選定に役立てる「マイナ救急」が全国で開始されています。本人が情報提供に同意していれば、救急隊員が過去の処方薬や受診歴を確認したうえで搬送先を選定でき、初対面の医療機関でも素早く適切な治療につなぎやすくなります。
持ち歩きに不安がある方はスマホでも利用可能に
「マイナンバーカードを毎回持ち歩くのは不安」という方向けに、機器の準備が整った医療機関・薬局では令和7年9月19日からスマートフォンをマイナ保険証として利用することも可能になっています。
7. 医療費まわりとセットで整えたい家計の支払い動線
8月以降の医療費の支払い動線を整えるなら、医療費そのものだけでなく、月々の保険料や日常の支払い方法を合わせて見直しておくと家計全体の見通しが立てやすくなります。
保険料・医療関連の固定費はクレカ集約でポイント還元を取りに行く
健康保険料は給与天引きや口座振替で支払う方が多いですが、生命保険・医療保険の保険料、ジェネリック医薬品の定期購入、ドラッグストアでの市販薬購入などはクレジットカード払いを選択できる場面が多くあります。決済方法を1枚に揃えるだけで、その分のポイント還元が積み上がり、医療関連の支出の把握もしやすくなります。
普段使いの経済圏を1つに絞ってドラッグストア・薬局のポイントもまとめる
医療費の窓口負担は経済圏のポイント還元の対象外になることが多いですが、ドラッグストアや薬局での市販薬・健康食品の購入、コンビニや日用品の買い物まで含めると、経済圏を1つに揃えることで日常消費からの還元が積み上がります。
給与明細・保険料の動きと合わせて全体像を確認したい関連記事
健康保険関連は、保険料の仕組みと給与明細の控除欄を一度整理しておくと「自分が何にいくら払っているか」が見えるようになります。
8. よくある質問
資格確認書はどのくらいの頻度で更新されますか?
資格確認書がまだ届いていません。どうすれば良いですか?
マイナ保険証を持っていれば、紙の健康保険証や資格確認書はもう不要ですか?
8月以降、マイナ保険証も資格確認書も忘れて受診したらどうなりますか?
マイナンバーカードを持っていない高齢の家族が心配です。
9. まとめ
2024年12月2日に従来の健康保険証の新規発行が停止し、2025年12月1日に手元の保険証が法的に失効しました。その後も暫定措置として期限切れ保険証で受診できる運用が続いていましたが、上野厚生労働大臣の会見により2026年7月31日でこの暫定措置は終了し、それ以降の再延長は予定されていないことが明らかになっています。
8月以降も、どちらも持たずに受診すること自体はできますが、その場合は窓口で医療費の全額(10割)をいったん支払い、後から払い戻しを受ける「償還払い」になります。窓口で通常の自己負担割合(3割など)のまま保険診療を受けるには、マイナ保険証(健康保険証として利用登録したマイナンバーカード)か資格確認書のどちらかを携帯しておくことが大切です。マイナ保険証を持っていない方には、加入医療保険者から申請不要で資格確認書が自動交付されているため、手元の郵便物を確認するか、勤務先・健康保険組合・市区町村の窓口に問い合わせるのが7月末までにやっておきたい最も重要な対応です。
マイナ保険証を選ぶ場合は、限度額適用認定証なしで高額療養費の自己負担上限が窓口で自動適用される、医療費控除の確定申告がマイナポータル経由で簡素化される、マイナ救急による搬送先選定の精度が上がるなど、家計面でのメリットも見込めます。
夏休みやお盆など医療機関にかかる機会が増える季節を前に、家族全員分の登録状況と手元の書類を一度に確認しておくことをおすすめします。
こちらの記事もおすすめ
この記事と一緒によく読まれています