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【2026年度】国民健康保険料の仕組みと改正点|上限110万円への引き上げと6月の納付通知前に確認したいポイント

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※ 2026年6月時点の情報です

毎年6月は国民健康保険(国保)の納付書が届くタイミングです。2026年度(令和8年度)からは国民健康保険料(税)の賦課限度額が109万円から110万円に引き上げられました。2026年6月に届く納付通知書から、新しい上限額が反映されます。

この記事では、自営業・フリーランス・退職後の方など国保に加入している世帯向けに、保険料の計算の仕組み、110万円への引き上げで影響を受けるのは誰か、6月の納付通知書が届く前に確認しておきたいポイントを整理します。

1. 2026年度の国民健康保険料、何が変わる?

2026年度の国民健康保険料には、次の2つの大きな動きがあります。

引き上げの主な対象は、医療分のうち「基礎賦課額」の限度額が66万円から67万円に1万円増えたことです。後期高齢者支援金等賦課額(26万円)と介護納付金賦課額(17万円)の上限は据え置きで、結果として合計の年間上限が109万円から110万円に変わりました。

国保の保険料は前年(2025年)の所得をもとに計算されるため、6月に届く納付通知書では、2025年中の所得が反映された新しい年額が示されます。年収帯によって影響度は大きく違い、上限に達する高所得世帯では年1万円の負担増、中間所得層では基本的に変わらず、という分布になります。

2. 国民健康保険料の計算の仕組み

引き上げの内容を理解するために、まず国民健康保険料の基本構造を整理します。

加入対象は「他の公的医療保険に入っていない人」

国民健康保険は、原則として被用者保険等の適用者以外の国民すべてを被保険者とする制度です。具体的には、自営業・フリーランス・農林水産業従事者・退職して被用者保険を抜けた方・無職の方などが加入対象になります(生活保護受給者・後期高齢者医療制度の対象者などは除外)。

会社員が加入する健康保険(協会けんぽや健保組合)とは異なり、市町村(特別区を含む)または国民健康保険組合が保険者として運営します。

「所得割+均等割+平等割」の合計で年額が決まる

国民健康保険料は世帯単位で計算され、保険料の決め方には4方式(所得割・資産割・被保険者均等割・世帯別平等割)、3方式(所得割・均等割・平等割)、2方式(所得割・均等割)の3つがあります。どの方式を採用するかは自治体ごとに異なります。

各構成要素の意味は次のとおりです。

  • 所得割:前年の所得に応じて世帯ごとに計算(高所得ほど高い)
  • 均等割:加入者1人あたりにかかる定額部分
  • 平等割:1世帯あたりにかかる定額部分(3方式・4方式のみ)
  • 資産割:固定資産税額をもとに算定する部分(4方式のみ)

この合計が「年間の保険料」になります。40〜64歳の加入者がいる世帯では、医療分・後期高齢者支援金分に加えて介護納付金分も上乗せされます。

「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分」の3層構造

保険料はさらに、用途別に3つの賦課区分に分かれています。

  • 基礎賦課額(医療分):自分たちが医療を受けるための財源
  • 後期高齢者支援金等賦課額:75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度を支えるための財源
  • 介護納付金賦課額:40〜64歳の加入者が負担する介護保険分

それぞれの区分に独立した賦課限度額が設定されており、その合計が世帯ごとの年間上限になります。これが今回引き上げられた「賦課限度額」の中身です。

低所得世帯は均等割・平等割が軽減される

世帯の所得が一定額以下の場合、被保険者均等割額・世帯別平等割額を7割・5割・2割減額する軽減制度が設けられています。減額の判定は申請なしで自動的に行われ、課税権者である自治体が前年所得をもとに該当世帯を判定します。具体的な所得基準は毎年度の改正で動くため、6月の納付通知書か自治体の公式ページで確認するのが確実です。

3. 賦課限度額110万円への引き上げの内容

ここから、2026年度(令和8年度)の改正内容を詳しく見ます。

令和7年度との比較

引き上げ前と引き上げ後の内訳は次のとおりです。出典は厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会資料です。

区分 令和7年度 令和8年度 引き上げ幅
基礎賦課額(医療分) 66万円 67万円 +1万円
後期高齢者支援金等賦課額 26万円 26万円 据え置き
介護納付金賦課額 17万円 17万円 据え置き
合計 109万円 110万円 +1万円

引き上げ幅は基礎賦課額の+1万円のみで、後期高齢者支援金等分・介護納付金分は据え置きになっています。

引き上げの理由

賦課限度額は過去10年以上にわたってほぼ毎年引き上げられており、令和2年度99万円→令和4年度102万円→令和6年度106万円→令和7年度109万円→令和8年度110万円と推移しています。背景には、高齢化等により医療給付費等が増加する中で必要な保険料収入を確保するという財政的な要請があります。

厚生労働省は、賦課限度額を引き上げずに保険料率の引き上げだけで対応すると高所得層の負担は変わらず中間所得層の負担が重くなる、という考え方を示しています。上限を引き上げることで、高所得層からの負担を増やしつつ、中間所得層の保険料率の上昇を抑える設計です。

引き上げの規模感

引き上げ幅の判断には、被用者保険における最高等級該当者の割合(0.5〜1.5%の範囲)とのバランスをとり、賦課限度額超過世帯の割合が概ね1.5%に近づくように段階的に引き上げるという基準が用いられています。

令和8年度の試算では、合計の限度額超過世帯割合は、引き上げ前の上限109万円では1.45%、引き上げ後の上限110万円では1.43%と見込まれています。つまり、新しい上限110万円に達するのは、全国の国保加入世帯のうち1.43%(引き上げ後)の想定です。

4. 上限引き上げで影響を受けるのは誰か

110万円への引き上げで保険料が増えるのは、限度額に到達する高所得世帯に限られます。中間所得層・低所得層への直接的な影響は基本的にありません。

限度額に達する給与・年金収入の目安

厚生労働省の試算では、医療分(基礎賦課分+後期高齢者支援金等分)の賦課限度額に達する単身世帯の収入の目安は、令和8年度で給与収入約1,170万円・年金収入約1,170万円(給与所得・年金所得は約980万円)です。これは令和8年度(引き上げ後の上限110万円)で上限に達する単身世帯モデルの目安で、世帯人数・家族構成・自治体の保険料率によって変動します。

中間所得層(年収400万円程度)は据え置き

年収400万円の単身世帯では、令和8年度の保険料は引き上げ前33.9万円・引き上げ後33.8万円とほぼ変わらないと試算されています。これは中間所得層では保険料率の上昇が抑えられた結果で、賦課限度額の引き上げによって高所得層が多めに負担する分、保険料率の上振れを抑制できているためです。

上限世帯では年1万円の負担増

限度額該当世帯の年間保険料は、令和7年度109万円から令和8年度110万円へ年間1万円の増加です(令和7年度比+0.9%)。仮に12分割すると月額約830円相当ですが、実際の国保料の納付は自治体ごとに通常6月〜翌3月の10回または8回分割が一般的なため、1期あたりの実額は自治体の納付スケジュールにより変わります。

国保加入者の家計への影響は世帯ごとに分かれる

国保加入者にとって、今回の改正の家計影響は世帯収入帯で大きく異なります。

  • 上限到達世帯(高所得層):年1万円の負担増。月割で約830円
  • 中間所得層:保険料率の上振れが抑えられるため、ほぼ据え置き
  • 低所得層:軽減制度(7割・5割・2割)の対象になれば均等割・平等割が減額されるため、上限引き上げの影響は基本的になし

ただし、各自治体の保険料率は別途設定されているため、自分の世帯の保険料がどうなるかは6月の納付通知書で確認するのが確実です。

5. 6月の納付通知書が届く前に確認したい3つのポイント

国保の納付書は6月に各市区町村から世帯主宛に送付されます。届いた通知書を受け取る前後で、以下の3点をチェックしておくと、自分の保険料が妥当か判断しやすくなります。

① 前年(2025年)の所得を把握しておく

国保の保険料は前年の総所得金額から基礎控除を差し引いた額に按分して所得割を算定する仕組みです。2025年に大きく収入が増えた方(独立・開業・退職時の退職所得など)は、2026年度の保険料が前年より上がる可能性があります。

確定申告書の控え・源泉徴収票・収支内訳書などで、2025年の総所得金額を事前に確認しておきましょう。2025年中に独立・開業・事業の拡大などで所得が大きく増えた方は、2026年度の保険料が上がる可能性があります。

② 軽減制度の対象になるか確認する

世帯の所得が一定額以下なら、均等割・平等割が7割・5割・2割減額される軽減制度の対象です。申請は不要で、自治体が前年所得をもとに自動判定します。

退職後で前年の所得が大幅に減った方、扶養家族が増えた方などは、6月の納付通知書で軽減が適用されているかを確認するとよいでしょう。所得情報の申告漏れがあると軽減が外れてしまうケースもあるため、年金や副業所得などは正しく申告しておくのが大切です。

③ 納付方法を決める(口座振替・クレカ・コンビニ)

国保料の納付方法は自治体ごとに選択肢が異なりますが、おおむね「口座振替」「納付書(金融機関・コンビニで現金払い)」「クレジットカード払い」「スマホ決済アプリ(PayPay・auPAYなど)」のいずれかから選べます。

支払いの利便性とポイント還元を両立したい場合、固定費全般をクレカ払いに集約してポイント還元を得る方法があります。国保料そのものがクレカ払いに対応しているかは自治体次第ですが、生活全体の固定費を見直すタイミングとしても6月は適しています。

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6. 子ども・子育て支援納付金分の新設と今後の見通し

2026年度の改正で押さえておきたいもう一つの動きが、子ども・子育て支援納付金賦課分の新設です。

国保にも「子ども・子育て支援納付金」が新設

2026年度から、医療保険制度全体に子ども・子育て支援納付金分が新設されます。被用者保険(会社員の健保組合・協会けんぽ等)では給与天引き額に上乗せされる形になり、国民健康保険でも同様に保険料に含まれる新区分として導入されます。

ただし、国保における具体的な賦課限度額は令和8年度予算編成過程で決定される令和8年度の子ども・子育て支援納付金総額を踏まえた上で、超過世帯割合が概ね0.5〜1.5%の間となるように決定される予定で、上記の110万円とは別枠で設定されます。

賦課限度額は今後も段階的に引き上げの可能性

賦課限度額は将来的に賦課限度額超過世帯割合が1.5%に近づくように段階的に引き上げるという方針のもとで、ほぼ毎年見直されています。医療費の伸びが続くかぎり、2027年度(令和9年度)以降も引き上げが続く可能性が高い状況です。

国保加入者の家計設計では、保険料が将来的に上がっていく前提で、収入・所得控除・固定費全体を見直しておくと安心です。

7. よくある質問

国民健康保険の賦課限度額が110万円に上がると、誰の保険料が増えますか?
原則として、年間保険料が上限の110万円に到達する高所得世帯のみ年1万円の負担増です。 厚生労働省の試算では、令和8年度に医療分の賦課限度額に達する単身世帯の収入の目安は給与収入・年金収入ともに約1,170万円 (給与所得・年金所得は約980万円)です。これは令和8年度(引き上げ後の上限110万円)で上限に達する単身世帯モデルの目安で、世帯人数・家族構成・自治体の保険料率によって変動します。中間所得層・低所得層では今回の上限引き上げによる直接的な保険料増はありません。
賦課限度額の引き上げはいつから適用されますか?
2026年度(令和8年度)の保険料から新しい上限額110万円が適用されます。国保料は前年所得をもとに6月に新年度の年額が決まる仕組みのため、 令和8年度の引き上げ(109万円→110万円) は2026年6月に各市区町村から届く納付通知書に反映されます。
国民健康保険料はどうやって計算されるのですか?
国民健康保険料は世帯単位で算定し、 4方式(所得割・資産割・均等割・平等割)・3方式(所得割・均等割・平等割)・2方式(所得割・均等割)のいずれかを各自治体が選択 して計算します。所得割は前年の所得(総所得から基礎控除を差し引いた額)、均等割は加入者1人あたり、平等割は1世帯あたりの定額部分です。さらに「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分(40〜64歳のみ)」の3区分それぞれに賦課限度額が設定され、その合計が世帯の年間上限になります。具体的な保険料率は自治体ごとに条例で定められるため、自分の住む市区町村の公式ページで確認できます。
退職して国保に切り替えました。前年の所得が高いため保険料が高くなりそうです。何か方法はありますか?
原則として、国保料は前年所得をもとに計算されるため、退職直後は会社員時代の所得が反映されて高めになります。対応策としては、(1) 在職中に加入していた健康保険の任意継続(最長2年間)、(2) 配偶者などの被扶養者になる、(3) 国保への切り替え、の3つから自分の状況に合う方法を選ぶことになります。任意継続は退職後20日以内の手続きが必要です。また、 倒産・解雇など非自発的失業の場合は、前年所得の給与所得を30/100として算定する軽減措置(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者が対象) が用意されています。具体的な金額の比較は、退職前後で必ず複数の選択肢を市区町村の窓口や元の健保組合に確認するのが確実です。
国保料を滞納するとどうなりますか?
保険料を滞納すると、まず納付の督促や延滞金が発生します。さらに、 災害その他の特別の事情なく1年以上保険料を滞納している場合は、世帯主に被保険者証を返還させ、代わりに被保険者資格証明書を交付する ことになります。資格証明書では医療機関の窓口でいったん医療費を全額自己負担し、後日保険者に申請して払い戻しを受ける形になるため、医療を受けにくくなります。さらに1年6か月以上滞納が続くと保険給付の支払い差し止めもあり得ます。支払いが難しい場合は早めに市区町村の国保担当窓口に相談し、分納・減免の相談をするのが大切です。

8. まとめ

2026年度(令和8年度)の国民健康保険料は、賦課限度額が109万円から110万円に1万円引き上げられました。引き上げは医療分のうち基礎賦課額(66万円→67万円)のみで、後期高齢者支援金等分・介護納付金分は据え置きです。直接的な影響を受けるのは限度額に到達する高所得世帯(令和8年度で給与収入約1,170万円が上限到達の目安)のみで、中間所得層・低所得層では基本的に保険料は変わりません。

6月に届く納付通知書では、2025年中の所得をベースに新年度の年額が示されます。前年所得の把握・軽減制度の対象確認・納付方法の選択の3点を整理しておくと、自分の保険料が妥当かを判断しやすくなります。

医療給付費の増加が続くかぎり、賦課限度額は今後も段階的に引き上げが続く可能性があります。国保加入者にとっては、保険料が将来的に増えていく前提で、固定費の見直しや収入面の選択肢を点検しておくのが安心です。

国保加入者は会社員と違って所得控除の活用余地が大きい立場です。iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になり、所得割の算定基礎となる総所得を下げる効果があるため、結果的に翌年度の国保料の上昇を抑える方向に働きます(新NISAは所得控除の対象ではないため国保料には直接影響しませんが、資産形成の手段として併用できます)。

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