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106万円・130万円の壁とは?社会保険の扶養を外れたときの手取りと家計への影響

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※ 2026年6月時点の情報です

「もう少し働きたいけれど、年収の壁を超えて扶養を外れると手取りが減るのが怖い」——パートで働く配偶者や、アルバイトをする学生のいる家庭でよく聞かれる悩みです。年収の壁にはいくつか種類がありますが、社会保険にかかわるものは大きく分けて「106万円の壁」と「130万円の壁」の2つです。

この記事では、2つの壁の違い、扶養を外れたときに増える保険料の概算、2025〜2026年に進む制度改正の内容、家計でできる対応策を整理します。

1. 「年収の壁」とは?106万円と130万円の違い

「年収の壁」は、収入がある基準を超えると税金や社会保険料の負担が新たに発生し、手取りが頭打ちあるいは一時的に逆転する現象を指す通称です。社会保険にかかわる壁は次の2つです。

両者は仕組みも適用される人も異なります。106万円は「自分の勤め先で社会保険に加入するかどうか」の基準、130万円は「配偶者などの扶養に入り続けられるかどうか」の基準です。たとえば、勤め先の規模や労働時間の要件を満たしていなければ106万円を超えても自分の勤め先の社会保険には入りませんが、年収が130万円を超えれば扶養から外れて自分で国民健康保険・国民年金に入る必要が出てきます。

なお、所得税側にも「103万円の壁」「150万円の壁」「160万円の壁」などがありますが、これらは税負担にかかわる壁で、社会保険料とは別の話です。所得税側の壁については、本記事では扱いません。

2. 106万円の壁(社会保険の加入要件)

106万円の壁は、勤め先の社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象になるかどうかの境目です。

現行の加入要件(短時間労働者)

正社員以外の短時間労働者でも、次の4つの要件をすべて満たすと、勤め先の社会保険に加入することになります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円)
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生でないこと

加えて、企業規模の要件として「常時使用する従業員数が51人以上」の企業が現行の適用対象です。

「8.8万円以上」の判定には、残業代・賞与・通勤手当・各種手当の一部などは含まれず、所定内の賃金(基本給と諸手当のうち決まって支払われる部分)で見ます。詳細は勤め先の人事担当者や年金事務所で確認できます。

加入することになると何が変わる?

要件を満たして勤め先の社会保険に加入することになると、給与から健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上の場合)が天引きされる代わりに、配偶者などの扶養から自動的に外れます。これが「106万円の壁」と呼ばれる理由です。

なお、加入対象になるかどうかは「勤め先の規模・労働時間・賃金」の組み合わせで決まるため、勤め先が50人以下の企業であれば、月額8.8万円を超えても短時間労働者の加入対象にはなりません(ただし、フルタイム勤務など労働時間・労働日数が正社員の概ね4分の3以上であれば、規模にかかわらず加入対象になります)。

3. 130万円の壁(被扶養者の認定基準)

130万円の壁は、配偶者や親など家族の社会保険上の扶養(被扶養者)に入り続けられるかどうかの境目です。

セクション2: 106万円の壁(社会保険の加入要件)が「自分自身が勤め先の社会保険に加入することで扶養を外れる」基準であるのに対し、130万円の壁は「勤め先の社会保険には加入しない(小規模企業・週20時間未満などで加入要件を満たさない)人が、収入の多さで扶養を外れる」基準です。2つの壁は別々の経路で、同じ人に順番に来るわけではありません。加入要件を満たす人は月8.8万円(年収約106万円)を超えた時点で自分が被保険者になって扶養を外れるため、130万円を待たずに外れます。一方、加入要件を満たさない人は106万円を超えても扶養に残り、130万円が扶養を外れる境目になります。

健康保険の被扶養者になれる基準

健康保険の被扶養者として認定されるためには、原則として年間収入が130万円未満60歳以上または概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者の場合は180万円未満)であることが基準です。あわせて、主として被保険者(扶養している側)の収入によって生計を維持していることが必要です。

ここでの「年間収入」は、所得税の年収(1〜12月の合計)とは異なり、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額で判定します。給与収入のほか、雇用保険の失業給付・公的年金・傷病手当金・出産手当金なども収入に含まれます。

19歳以上23歳未満は150万円未満に拡大

令和7年度税制改正のなかで、家族の社会保険上の扶養に入っている学生年代の働き方を後押しするための見直しが行われました。扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変更されました。

たとえば大学生の子がアルバイトで年130万円を超えても、150万円未満であれば、引き続き親の健康保険の被扶養者でいられます。

厚生年金(国民年金第3号被保険者)の扶養基準

会社員・公務員に扶養されている配偶者のうち、20歳以上60歳未満の方は、自分で年金保険料を負担せずに国民年金第3号被保険者として扱われます。第3号被保険者の収入基準も、健康保険と同じく原則として年間収入130万円未満です(19〜23歳の特例は健康保険側のみで、第3号被保険者にはありません)。20歳未満や60歳以上の配偶者は、そもそも国民年金の加入年齢の枠外なので、第3号被保険者にはなりません。

130万円を超えると、配偶者の扶養から外れて自分で国民年金(または勤め先の厚生年金)に加入することになります。

4. 扶養を外れたときの手取りと家計への影響

「壁を超えると手取りが減る」と言われる理由を整理します。

扶養を外れた後の保険料負担

扶養から外れたとき、どこに加入することになるかで保険料の負担が変わります。

「逆転現象」と「逆転しないケース」

たとえば年収130万円ちょうどで扶養を外れて国民健康保険・国民年金に自分で加入する場合、国民年金の保険料だけで月額17,920円(令和8年度)、年間では約21.5万円の負担になります。これに国民健康保険料(自治体・年齢・世帯構成で変動)が加わるため、年収130万円付近で扶養から外れると、扶養内で働いていたときよりも世帯の手取りが一時的に下がる「逆転現象」が起こり得ます。

一方、勤め先の社会保険に加入する場合は、本人負担分の保険料が出ても、勤め先が半額を負担してくれる仕組みがあるため、本人負担分の保険料率は給与の約14%にとどまります。さらに、加入によって受けられるメリットもあります。

短期的な手取り減と、長期的な年金・保障の充実を天秤にかける形になります。

世帯主側の影響

扶養を外れた配偶者を扶養していた側にも影響があります。健康保険上の扶養が外れることで、勤め先の家族手当・扶養手当の支給対象から外れる場合があります(手当の支給条件は会社ごとに異なるため、自社の就業規則を確認してください)。

なお、税制上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)と社会保険上の扶養は別の制度で、収入基準も異なります。社会保険の扶養を外れても、税制上の配偶者特別控除は別の基準で受けられる場合があります。

5. 2025〜2026年の制度改正で変わったこと

「年収の壁」をめぐっては、2025年から2026年にかけて複数の制度改正が動いています。

130万円の壁:労働契約ベースの認定が利用可能

「壁を意識して労働時間を減らす(就業調整)」を緩和するため、労働契約の内容(基本給・諸手当)から見込まれる年間収入が130万円未満であれば、実績として超過しても被扶養者として認定される取扱いが運用されています。さらに、繁忙期の残業などで一時的に年収が130万円を超えても、事業主が証明することで連続2回まで被扶養者の認定を継続できる仕組みもあります(事業主の証明による被扶養者認定の運用)。

106万円の壁:賃金要件の撤廃が決定

2025年に成立した年金制度改正法により、月額8.8万円以上(年収約106万円)の賃金要件は、法律の公布から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断され、撤廃されることが決まりました。最低賃金は年々上がっており、週20時間勤務するだけで月8.8万円を超えるケースが増えているため、賃金要件は実質的に意味を失いつつある、という考え方が背景にあります。

撤廃後は、週20時間以上・2か月超の雇用見込み・学生でない、という要件(および企業規模要件)を満たせば、賃金額に関係なく勤め先の社会保険に加入することになります。

そのため、賃金要件の撤廃は「壁がなくなって自由に働ける」という意味ではなく、社会保険に加入するかどうかの境目が「週20時間以上働くかどうか」という労働時間の条件に移る、と捉えるのが正確です。これまで賃金要件(月8.8万円未満)で加入を免れていた低賃金・短時間の働き方も、週20時間以上であれば加入の対象に含まれることになります。

企業規模要件の段階的拡大

短時間労働者の社会保険適用について、現行の「常時51人以上」の企業規模要件は、2027年10月から段階的に縮小・撤廃され、最終的に企業規模を問わずに適用される予定です。今後は中小企業に勤めるパート・短時間労働者も順次、勤め先の社会保険の加入対象に組み込まれていきます。

19歳以上23歳未満の被扶養者基準の引き上げ

前述のとおり、19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件は、扶養認定日が令和7年10月1日以降の場合に150万円未満に引き上げられています。学生のアルバイトで130万円を超えても、150万円未満であれば親の健康保険の扶養を継続できます。

6. 家計でできる対応策

「壁」を踏まえて家計を見直すときの選択肢を整理します。

短期的な対応:壁の手前で抑えるか、しっかり超えるか

働き方として大きく2つの方向があります。

  • 壁の手前で抑える:労働時間や賃金を調整して106万円・130万円の手前に収め、扶養を維持する。家計の手取り総額は下がらないが、長期的な厚生年金の積み上げ・健康保険の手厚い給付は得られない
  • 壁を超えてしっかり働く:勤め先の社会保険に加入してフルに働き、保険料の負担を上回る給与収入を得る。短期的には手取り減になる年収帯もあるが、給与収入が増えていくほど保険料の負担を吸収でき、将来の厚生年金・健康保険の給付も上積みされる

どちらが自分の家計に合うかは、現在の収入・働きたい時間・将来設計(老後資金、子育てや介護の予定など)によって変わります。公的な相談先(年金事務所・市区町村の窓口など)や、専門家(社会保険労務士など)に相談しながら判断するのが現実的です。

中長期的な対応:扶養を外れる前提で家計を組み直す

扶養を外れて働く判断をした場合、増えた収入を将来の備えに回すことで、保険料負担の上振れを吸収できます。

  • 国民年金よりも給付が厚い厚生年金に加入できる場合は、加入することで老後の年金が積み上がります。あわせて、自分名義のiDeCo・新NISAなどで資産形成を進めると、老後資金の不足を補えます
  • 短期的な手取りの目減りは、生活費の固定費(通信費・光熱費・保険料)を見直して相殺するのも選択肢です。固定費の支払いをまとめてポイント還元を受ける方法もあります

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通信費・光熱費・保険料などの固定費をクレカ払いにしてポイント還元を受ける方法はこちら

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扶養を外れたあと、増えた収入を非課税で積み立てたい方は、新NISAのクレカ積立を確認してみてください

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家計全体での家計改善:経済圏を整える

扶養から外れる・外れないにかかわらず、毎日の支出を1つのポイント経済圏(楽天・PayPay・dポイントなど)にまとめることで、買い物・通信費・公共料金の還元を底上げできます。

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自分のライフスタイルに合うポイント経済圏を選びたい方は、5大経済圏の比較から始めるのが効率的です

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扶養を外れて働く側がふるさと納税を使う

扶養から外れて自分で所得税・住民税を負担するようになると、ふるさと納税の控除対象にもなります。自己負担2,000円を引いた金額が所得税・住民税から控除され、寄附先の自治体から返礼品を受け取れる仕組みです。

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7. よくある質問

106万円と130万円、どちらが先に来る壁ですか?
勤め先の規模・労働時間などの要件を満たしていれば106万円が先に来ます。 従業員51人以上の企業で週20時間以上・月8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でないという要件をすべて満たすと、勤め先の社会保険に加入することになる ためです。要件を満たさない働き方(小規模企業・週20時間未満など)の場合は、130万円の壁(被扶養者の認定基準)が先に来ます。自分にどちらの壁が当てはまるかは、勤め先の規模と労働時間を確認してから判断してください。
残業で一時的に130万円を超えそうです。扶養から外れますか?
原則として、扶養から外れない場合があります。 労働契約上の見込み年収が130万円未満であれば、繁忙期の残業などで一時的に超過しても、事業主の証明により連続2回まで被扶養者の認定を継続できる仕組み が設けられています。具体的な手続きは、扶養している側の勤務先の健康保険組合または年金事務所に確認してください。判断は健康保険組合・年金保険者ごとに行われるため、不明点は早めに相談するのが確実です。
大学生の子のアルバイト収入が140万円ありますが、社会保険上の扶養から外れますか?
原則として、外れません。 扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、年間収入の認定基準が「130万円未満」から「150万円未満」に変更 されたためです。年収140万円であれば、引き続き親の健康保険の被扶養者でいられます。ただし、所得税側の扶養は別の基準で判断するため、税制上の扱いは社会保険上の扱いと一致しない場合があります。
扶養を外れて勤め先の社会保険に入ると、どんなメリットがありますか?
主に3つあります。第一に、 厚生年金に加入した期間に応じて、老後に受け取る年金が国民年金(老齢基礎年金)に上乗せ されます。第二に、業務外のケガ・病気で連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった場合、 標準報酬月額の30分の1にあたる日額の3分の2に相当する傷病手当金 を受け取れます。第三に、出産で仕事を休んだ場合は 出産日(出産が予定日より後になった場合は出産予定日)以前42日〜出産日翌日以後56日の間、標準報酬月額の30分の1にあたる日額の3分の2の出産手当金 を受け取れます。これらは国民健康保険には基本的にない給付なので、長期的な備えとしては勤め先の社会保険のほうが手厚い設計になっています。
106万円の壁はいつ撤廃されますか?
賃金要件(月額8.8万円以上)の撤廃時期は、 法律の公布から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断 されることになっています。あわせて、現行の「常時51人以上」の企業規模要件も2027年10月から段階的に縮小・撤廃される予定です。撤廃後は、賃金額や企業規模にかかわらず、週20時間以上・2か月超の雇用見込み・学生でない、という要件を満たす短時間労働者が勤め先の社会保険に加入することになります。

8. まとめ

社会保険にかかわる「年収の壁」は、自分の勤め先で社会保険に加入することになるかの境目である106万円の壁と、家族の扶養に入り続けられるかの境目である130万円の壁の2つです。どちらに先にぶつかるかは、勤め先の規模・労働時間・賃金の組み合わせで決まります。

2025〜2026年は、年収の壁を意識した働き方の調整(就業調整)を緩和するための制度改正が動いている時期です。労働契約ベースでの被扶養者認定や、事業主証明による一時的超過の認定継続19歳以上23歳未満の150万円基準106万円の賃金要件の撤廃と企業規模要件の段階的縮小など、壁を巡るルールはここ数年で大きく変わります。

壁を踏まえた家計設計では、「壁の手前で抑える」「壁を超えてしっかり働く」のどちらが自分の世帯に合うかを、収入・働きたい時間・老後の備えとあわせて検討するのが基本です。扶養を外れる判断をした場合は、増えた収入を新NISA・iDeCoなどの資産形成に回しつつ、固定費の見直しでもう一段の家計改善を進めると、保険料負担の上振れを吸収しやすくなります。

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