住民税はいくら引かれる?計算の仕組みと手取りを増やす控除活用法
※ 2026年5月時点の情報です
6月になると届く「住民税決定通知書」。給与明細の天引き額を見て「こんなに引かれるの?」と感じた方も多いのではないでしょうか。住民税は前年の所得をもとに計算され、所得に応じた「所得割」と定額の「均等割」の合計で決まります。計算の仕組みを理解すれば、使える控除を把握して税額を適正に抑えることもできます。
この記事では、住民税がどう計算されるかをステップごとに整理し、手取りを増やすために活用できる控除の種類と使い方を紹介します。
1. 住民税の仕組み
住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に納める地方税です。税額は次の2つの要素で構成されています。
- 所得割:前年の所得に応じて課税される部分。税率は道府県民税4%+市町村民税6%=合計10%が標準税率です
- 均等割:所得にかかわらず定額で課税される部分。道府県民税1,000円+市町村民税3,000円=合計4,000円です。これに加えて国税の森林環境税1,000円が合わせて徴収されるため、定額負担は合計年額5,000円になります
住民税額の大部分は所得割が占めるため、「課税所得をどれだけ控除で圧縮できるか」が税額に直結します。
所得税との大きな違いは税率の仕組みです。所得税は所得が高いほど税率が上がる累進課税(5%〜45%)ですが、住民税は課税所得に対して一律10%のフラット税率です。そのため、課税所得が増えればそのまま税額に比例して増えます。
2. 住民税の計算方法
住民税の計算は、次の4ステップで進みます。
ステップ1:所得金額を求める
収入から必要経費を差し引いて、所得金額を算出します。給与所得者の場合は「給与所得控除」が必要経費に相当し、収入額に応じて自動的に決まります。
ステップ2:課税所得金額を求める
所得金額から各種の「所得控除」(基礎控除、社会保険料控除など)を差し引きます。この結果が課税対象となる所得金額です。使える所得控除が多いほど課税所得が小さくなり、税額も下がります。主な控除はセクション3: 手取りを増やす控除の活用法で紹介します。
ステップ3:所得割額を計算する
課税所得金額に税率10%をかけ、そこから税額控除(調整控除など)を差し引いて所得割額を算出します。
ステップ4:住民税額を合計する
所得割額に均等割と森林環境税の合計5,000円を加えたものが、年間の住民税額です。会社員の場合はこの金額が12分割され、6月〜翌年5月の給与から毎月天引きされます。
計算例:年収400万円・独身会社員の場合
以下は、年収400万円の独身会社員を想定した概算です。社会保険料は年収の約15%(約60万円)と仮定しています。
- 給与所得控除:400万円 × 20% + 44万円 = 124万円
- 給与所得:400万円 − 124万円 = 276万円
- 所得控除:基礎控除43万円(地方税法第34条の2第2項) + 社会保険料控除約60万円 = 約103万円
- 課税所得:276万円 − 103万円 = 約173万円
- 所得割:173万円 × 10% = 約17.3万円
- 住民税合計:所得割約17.3万円 + 均等割等0.5万円 ≒ 約17.8万円(月額約1.5万円)
実際の税額は扶養状況や各種控除の利用状況、自治体ごとの税率差によって変わります。ここにふるさと納税やiDeCoなどの控除を追加すれば、課税所得がさらに小さくなり税額が下がります。
3. 手取りを増やす控除の活用法
住民税を適正に抑えるために活用できる控除のうち、会社員でも使いやすいものを紹介します。
① ふるさと納税(寄附金税額控除)
ふるさと納税は、好きな自治体に寄附すると自己負担2,000円を除いた金額が所得税と住民税から控除される制度です。寄附のお礼として自治体から返礼品も受け取れます。
会社員が5自治体以内に寄附する場合は「ワンストップ特例」を使えば確定申告なしで住民税から直接控除されるため、手続きの手軽さでも取り組みやすい控除です。控除の上限額は年収や家族構成によって異なります。ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーターで事前に確認しましょう。
② iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、会社員・公務員・自営業など職業を問わず、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です(所得税・住民税ともに全額が控除対象)。たとえば年間20万円を拠出した場合、課税所得が20万円減るため、住民税の所得割が20万円 × 10% = 2万円下がる計算になります。
掛金の上限は働き方(会社員・自営業・公務員など)や企業年金の有無によって異なります。老後の資産形成と住民税の軽減を同時に進められる仕組みです。
③ 医療費控除・セルフメディケーション税制
年間の医療費(自分と生計を同一にする家族の分を合算)が10万円を超えた場合、超えた分が最大200万円まで控除されます。通院費・処方薬・入院費などが対象です(医療費控除は所得税・住民税の両方で同じ計算式・同じ上限が適用されます)。
医療費が10万円に届かない場合でも、対象の市販薬の購入額が12,000円を超えていれば「セルフメディケーション税制」(控除上限88,000円)を選択できます。医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一方の選択制です。いずれも確定申告が必要になります。
④ 生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料を支払っている場合は住民税で最大70,000円(地方税法第34条第1項第5号)、地震保険料は最大25,000円(同項第5号の2)の所得控除が受けられます。
これらは年末調整で申告できるため、確定申告は不要です。毎年届く保険料控除証明書を勤務先に提出すれば適用されます。
4. 2026年度の主な改正ポイント
令和8年度(2026年度)の住民税では、いくつかの改正が適用されています。主な変更点は以下のとおりです。
- 給与所得控除の最低保障額引き上げ:55万円から65万円に引き上げられました。給与収入190万円以下の方が対象です
- 住民税非課税の年収ライン変更:扶養親族がいない場合、住民税が非課税となる給与収入のラインが100万円から110万円に引き上がりました(給与所得控除の最低保障額が10万円引き上げられたことに伴う算定上の変更)
- 扶養の所得要件引き上げ:同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件が48万円から58万円に引き上げられました。給与収入では103万円から123万円に相当します
- 特定親族特別控除の新設:19歳以上23歳未満の親族の合計所得が58万円を超えても、123万円以下であれば段階的に最大45万円の控除が受けられるようになりました(地方税法第34条第1項第12号)
なお、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです(令和7年度の地方税制改正項目に個人住民税の基礎控除は含まれていません)。所得税では基礎控除が引き上げられましたが、住民税は変更されていない点に注意してください。
5. よくある質問
住民税はいつから引かれますか?
住民税と所得税の控除額が違うのはなぜですか?
住民税を自分で計算する方法はありますか?
6. まとめ
住民税は所得に応じた「所得割(税率10%)」と定額の「均等割等(年額5,000円)」の合計で決まります。計算の流れは「収入 → 給与所得控除を引く → 所得控除を引く → 10%をかける → 均等割を足す」というステップです。
手取りを増やすには、使える所得控除を漏れなく活用して課税所得を圧縮することがポイントです。特にふるさと納税は会社員でもワンストップ特例で手軽に始められ、住民税の控除と返礼品を同時に受け取れます。まずはセクション3: 手取りを増やす控除の活用法で紹介した控除から、自分が使えるものを確認してみてください。
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