2026年4月から始まる『子ども・子育て支援金』とは?給与天引き額への影響と家計でできる対策
※ 2026年6月時点の情報です
2026年(令和8年)4月から、医療保険料に上乗せする形で新しい「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。会社員(被用者保険の加入者)は令和8年4月分保険料(5月に給与天引き)より拠出することになっており、5月以降の給与明細に支援金分の控除が追加されています。
「支援金って何のために集めるの?」「自分の給与からはいくら引かれるの?」「結局、家計にどう影響するの?」——新しく始まった子ども・子育て支援金は、被用者保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度それぞれで徴収方法が異なります。仕組み、支援金で拡充される子育て施策、家計でできる対策まで順に見ていきます。
1. 子ども・子育て支援金とは
子ども・子育て支援金は、児童手当の拡充や「こども誰でも通園制度」などの新しい子育て支援策の財源として、2026年度から医療保険の保険料に上乗せして徴収される拠出金です。2024年6月12日に成立した「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第47号)によって創設されました。
既存の医療保険料に上乗せして徴収する仕組み
支援金は独立した新しい税ではなく、健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度といった既存の医療保険の保険料と一緒に徴収されます。会社員であれば、毎月の給与から天引きされている健康保険料に加えて、支援金分が新しく控除されます。
支援金の徴収を医療保険の仕組みに乗せるのは、こども家庭庁の説明では「全世代で支え合う仕組み」として既存の医療保険制度を活用するためとされています。
「実質的な負担増にならない」と政府は説明
支援金の創設に対しては、社会保険料の追加負担として家計に直接効くのではないかという指摘があります。政府はこの点について、歳出改革の取組などによる社会保険負担軽減の範囲内で導入する方針を示しており、賃上げと歳出改革による社会保険料軽減の効果を合わせれば実質的な負担増にはならないと説明しています。
ただし、給与明細上は支援金として控除欄に金額が記載されるため、見た目の控除額は増えます。賃上げや他の社会保険料の動きと合わせて手取りを確認することが大切です。
2. 給与天引きはいつ・いくらから始まる?
被用者保険(健保組合・協会けんぽ等)に加入する会社員の場合、徴収の起点は2026年4月分の保険料です。
起点は令和8年4月分保険料(多くの会社で5月給与から天引き)
こども家庭庁の公式案内では、令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より拠出と明記されています。健康保険料は翌月控除(4月分保険料を5月給与で控除)が一般的なため、多くの会社員は2026年5月支給の給与から支援金が控除される形になります。
国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合
自営業者や年金生活者など、被用者保険ではなく国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している方の場合、令和8年4月分から拠出が始まりますが、具体的な徴収開始時期はお住いの市町村または広域連合に確認する必要があります。
国民健康保険の支援金額は市町村が定める条例に基づき、世帯や個人の所得等に応じて決定される仕組みで、市町村ごとに支援金に係る保険料率が異なります。後期高齢者医療制度についても、都道府県後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき個人の所得等に応じて決定されます。
3. 被用者保険の支援金額の計算
会社員に最も関係の深い被用者保険の計算式は次のとおりです。
計算式:標準報酬月額 × 支援金率(労使折半)
被用者保険の支援金額(月額)は、標準報酬月額×支援金率で計算され、基本的に支援金額の半分は企業が負担します(労使折半)。
国が示す一律の支援金率は、R8年度(2026年度)は0.23%です。
計算式にすると次のとおりです。
本人負担額(月額)= 標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2標準報酬月額別の本人負担額の目安
標準報酬月額別に、自分の毎月の負担額を試算してみます。労使折半なので、計算結果の半分が本人の天引き分です。
- 標準報酬月額 20万円:20万円 × 0.23% = 月460円。本人負担は約230円
- 標準報酬月額 30万円:30万円 × 0.23% = 月690円。本人負担は約345円
- 標準報酬月額 50万円:50万円 × 0.23% = 月1,150円。本人負担は約575円
- 標準報酬月額 65万円:65万円 × 0.23% = 月1,495円。本人負担は約747円
自分の標準報酬月額は、毎月の給与明細や、健康保険組合から年に1回交付される標準報酬決定通知書で確認できます。
賞与(ボーナス)からも徴収される
賞与については、ボーナスからも支援金を拠出いただきます。これは、健康保険制度や厚生年金保険制度と同様ですと公式FAQで明記されています。健康保険料や厚生年金保険料がボーナスからも引かれるのと同じく、標準賞与額に支援金率を掛けた金額が、夏冬の賞与から労使折半で徴収されます。
育児休業中は免除される
育児休業中は支援金が免除されます。企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除と公式FAQで案内されており、育休中の本人負担分・事業主負担分ともに発生しません。
4. 支援金で拡充される子育て施策
集めた支援金は、こども未来戦略の「加速化プラン」(3.6兆円規模の子育て支援の抜本的拡充)の財源として使われます。代表的な拡充策は次のとおりです。
① 児童手当の抜本拡充(2024年10月分から先行実施済み)
児童手当は支援金制度に先立ち、2024年10月分から拡充が実施されています。支給対象は18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間(高校生年代まで)に延長され、所得制限は撤廃されました。
支給月額は3歳未満が1人につき15,000円(第3子以降は30,000円)、3歳から高校生年代までが1人につき10,000円(第3子以降は30,000円)です。第3子以降を数えるときには、22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあって親等に経済的負担のある子(大学生年代の兄姉等)も含めてカウントします。
支給回数も、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月(偶数月)に、それぞれの前月分まで(2か月分)を支給される年6回払いに変更されました。
② こども誰でも通園制度(2026年度から本格実施)
こども誰でも通園制度(正式名称:乳児等通園支援事業)は、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付で、令和8年度(2026年度)から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付として全国の自治体で実施されます。
これまでの保育所は保育の必要性認定(共働き等の要件)が求められていましたが、こども誰でも通園制度では就労要件を問いません。在宅育児の世帯でも一定時間まで保育所等を利用できる仕組みです。
③ その他の拡充策
こども家庭庁は、加速化プランの対象施策として児童手当の拡充・こども誰でも通園制度・妊婦のための支援給付・雇用保険の出生後休業支援給付と育児時短就業給付・育児期間中の国民年金保険料免除などを挙げています。育児期の所得補填、出産費用の負担軽減、子育て期の働き方の柔軟化を組み合わせる設計です。
5. 家計でできる対策
支援金の本人負担分は、標準報酬月額が30万円なら月345円程度、50万円なら月575円程度です。賞与にも乗ること、後述するように段階的に総額が増えていく見込みであることを踏まえると、別の手段で家計を補強しておく考え方が有効です。
① 固定費の支払い方を見直してポイント還元を得る
毎月の通信費・光熱費・保険料・サブスクといった固定費の支払い方を見直すと、年間で見れば社会保険料の追加分を上回る効果が出ることがあります。たとえば月5万円の固定費を還元率1.0%のクレジットカードに集約すれば、年間6,000円分のポイントが戻ります。
支払い方を変えるだけで済むため、生活スタイルを変えずに家計を補強しやすい領域です。
② 新NISA×クレカ積立で資産形成と還元を両立する
新NISAは運用益が非課税で、クレカ積立を使えば積立額に応じたポイント還元も得られます。子育て世帯の長期的な家計設計を考えるなら、月々の支援金分を「資産形成の入口」と考え、同じ金額(あるいはそれ以上)を投資に回す習慣を作ると、長期で見たときの効果が大きくなります。
③ 普段の買い物に合うポイント経済圏を1つに絞る
楽天・PayPay・Vポイント・dポイント・au/Ponta の各経済圏は、対応サービスや還元率の仕組みが異なります。普段使いの決済・通信・ネット通販で利用する経済圏を1つに揃えると、ポイントが分散せず、日常消費からの還元を実質的な家計の補強につなげやすくなります。
給与明細・手取りの動きとあわせて確認したい関連記事
支援金の徴収開始と、2026年6月の住民税年度切り替え・税制改正による手取り変化が同時期に重なるため、給与明細の控除欄全体を一度整理して確認しておくと安心です。
6. 今後の見通し(段階的引き上げ)
支援金率は2026年度の0.23%で固定ではなく、段階的に引き上げられていく予定です。
段階的に総額が引き上げられる経過措置
支援金は令和8年度に新設されたあと、令和9年度・10年度と段階的に総額が引き上げられていく経過措置が設けられています。総額の引き上げにあわせて、被用者保険の支援金率や国保・後期高齢者の保険料率も見直される見込みです。
令和9年度以降の率はこども家庭庁の見込み資料で随時更新
令和9年度以降の具体的な料率はこれから示されます。こども家庭庁は令和9年度以降の支援金額の見込み(PDF)を公表しており、最新の見込みはこども家庭庁の支援金制度ページから随時確認できます。
給与天引きの「見え方」と「実質負担」のズレ
冒頭で触れたとおり、政府は社会保険負担軽減の範囲内で導入するため実質的な負担増にはならないと説明していますが、給与明細の控除欄に支援金分が追加されるため、見た目の控除額は確実に増えます。年に一度交付される標準報酬決定通知書や、6月の住民税切り替えタイミングで、社会保険料・住民税・支援金の全体像を年間ベースで確認する習慣をつけておくと、家計の見通しを立てやすくなります。
7. よくある質問
会社員の給与から、子ども・子育て支援金は具体的にいつから引かれますか?
自分の標準報酬月額が分からないのですが、どこで確認できますか?
ボーナス(賞与)からも引かれますか?
育児休業中は免除されますか?
扶養に入っている配偶者や子も支援金を払うのですか?
8. まとめ
子ども・子育て支援金は、2024年6月に成立した子ども・子育て支援法等の改正によって創設された新しい拠出金で、2026年4月分の医療保険料から徴収が始まりました。被用者保険に加入する会社員は、5月支給の給与から支援金分が控除される形になっています。
2026年度の被用者保険の支援金率は0.23%で、標準報酬月額×0.23%の半分が本人の毎月の負担額です。標準報酬月額30万円なら月345円程度、50万円なら月575円程度で、賞与にも乗ります。総額は令和10年度に向けて段階的に増えていく見込みのため、家計の補強策を1つでも実行しておくと長期で見たときの効果につながります。
支援金で拡充される子育て施策(児童手当の所得制限撤廃と高校生まで延長、第3子以降月3万円への増額、こども誰でも通園制度の本格実施など)の恩恵を受ける世帯にとっては、給付の受け取り方を整理することも家計の改善につながります。固定費の支払い方の見直し、新NISAでの資産形成、ポイント経済圏の選択といった足元のアクションと組み合わせて、年間ベースで家計の全体像を確認していきましょう。
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