2026年6月から手取りはどう変わる?基礎控除引き上げ・住民税新年度の影響を家計目線で解説
※ 2026年6月時点の情報です
「6月の給与明細を見たら、先月までと手取りが違う」。毎年6月は会社員の手取りが動くタイミングです。2026年はそれに加えて、令和7年度税制改正により給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられ、その影響が住民税にも反映されます。
この記事では、2026年6月から手取りが変わる理由を「毎年起きる住民税の年度切り替え」と「今年特有の税制改正」の2つに分けて整理し、年収別の影響と家計でできる対応策をまとめます。
1. 2026年6月、手取りが変わる2つの理由
2026年6月から手取りが変わる背景には、性質の異なる2つの要因があります。
- ① 毎年6月に起きる住民税の年度切り替え:住民税は前年(2025年)の所得をもとに計算され、その年額を6月から翌年5月の各月に分けて給与から特別徴収(天引き)します。年に一度、6月の給与で新しい税額に切り替わります
- ② 令和7年度税制改正の住民税への反映:給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、扶養親族の所得要件も拡大しました。住民税側の改正は令和8年度分以後の個人住民税について適用されるため、2026年6月から徴収される住民税で初めて反映されます
①は毎年起きる動きで、前年の収入が増えていれば6月から住民税の天引きが上がって5月までより手取りが減り、減っていれば手取りが増えます。②は今年特有の変化で、給与収入190万円以下の人や19歳以上23歳未満の親族を扶養している人は手取りが増える方向に作用します。
なお、所得税側の改正(基礎控除や給与所得控除の見直し)は、2025年12月の年末調整ですでに反映済みです。所得税の控除引き上げによる減税はこの春までに精算されており、2026年6月のタイミングで新たに動くのは主に住民税の側です。
2. 毎年6月に手取りが動く仕組み
会社員の給与から天引きされる住民税は、毎年6月に新しい年度の税額に切り替わります。仕組みを順に整理します。
住民税は前年の所得に対して後払いで課税される
住民税は、前年の1月〜12月の所得をもとに翌年度の税額が決まり、その翌年6月から納付が始まる「後払い」の税です。2026年6月から徴収される住民税は、2025年(令和7年)の所得に対する税金です。
そのため、2025年の途中で大きく収入が変わった人(昇給・転職・産休など)は、2026年6月の住民税変動が特に大きくなります。
給与天引きは6月〜翌年5月の12回払い
会社員の住民税は「特別徴収」と呼ばれ、市町村が作成する税額通知書が事業主(勤務先)を経由して納税義務者に交付され、6月から翌年5月までの各月の給与から天引きされます(地方税法第321条の4・第321条の5)。年間税額が決まると、勤務先を経由して正式名称「特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)」(通称:住民税決定通知書)が手元に届き、6月から新しい月額で天引きが始まります。
たとえば年間18万円の住民税であれば、月額1万5,000円ずつ12回に分けて支払う形です。前年(2024年)に天引きされていた金額から、6月支給分で一気に切り替わるため、5月と6月の手取りに差が出ます。
所得税の動きとは別物
所得税は毎月の給与・賞与から源泉徴収で先払いし、年末調整で精算する仕組みです。一方、住民税は前年の所得が確定してから後払いで徴収するため、両者は課税対象となる所得の年が1年ずれます。
このため、年末調整や確定申告で所得税が還付された後でも、翌年6月から住民税で精算が続くイメージになります。「所得税は確定したのに、なぜ住民税はあとから来るのか」と感じるのはこの仕組みのためです。
3. 令和7年度税制改正で変わったこと
ここからは、2026年6月の住民税で初めて反映される今年特有の改正点を見ていきます。
① 給与所得控除の最低保障額が55万円→65万円に
給与所得控除は、給与収入から差し引かれる「必要経費」に相当する控除です。令和7年度税制改正により、最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。
対象は給与収入190万円以下の方です。改正後は給与収入190万円までの給与所得控除額が一律65万円となり、改正前の最低保障55万円から引き上げられました。
住民税の課税対象となる「課税所得」は「給与収入 − 給与所得控除 − その他の所得控除」で計算されるため、控除額が10万円増えると課税所得が10万円下がります。住民税の所得割は標準税率10%(道府県民税4%+市町村民税6%)のフラット税率なので、10万円の課税所得減=年1万円の住民税減につながります。
② 扶養親族の所得要件が48万円→58万円に拡大
扶養控除や同一生計配偶者の判定で使われる「扶養親族の合計所得金額要件」も48万円から58万円に引き上げられました。給与収入に換算すると、103万円から123万円に相当します。
これにより、これまで扶養から外れていた家族(パート収入が103万円を少し超えていた配偶者や、アルバイト収入が103万円を超えていた学生など)が、新しい要件では扶養に入れる可能性があります。扶養控除が適用されれば、扶養している側の所得から控除が引かれるため、その分住民税・所得税の負担が下がります。
③ 特定親族特別控除の新設
19歳以上23歳未満の親族(大学生年代の子など)を対象に、新しく「特定親族特別控除」が創設されました。合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)の特定親族1人につき、所得税で最高63万円の控除を受けられます。住民税側では、控除額が最高45万円とされています(令和7年度地方税制改正・総務省資料)。
これまでは扶養親族の所得要件を超えると扶養控除がゼロになる「壁」がありましたが、新制度では所得額に応じて段階的に控除が減る設計になり、就業調整の必要性が緩和されています。
④ 所得税の基礎控除も引き上げ(住民税は据え置き)
所得税の基礎控除は、合計所得金額に応じて段階的に引き上げられました。たとえば合計所得金額132万円以下は48万円から95万円に、132万円超336万円以下は48万円から88万円(令和9年分以後は58万円)に拡大しています。
ただし、これは所得税側の改正であり、住民税の基礎控除は据え置きです。所得税の減税分は2025年12月の年末調整で精算済みのため、2026年6月の住民税には直接影響しません。
4. 家計への具体的な影響
改正の組み合わせによって、家計への影響は世帯のパターンで変わります。
パートで働く配偶者がいる世帯
配偶者の給与収入が103万円〜123万円の範囲にある世帯では、扶養親族の所得要件が58万円(給与収入123万円相当)に拡大したことで、扶養に入れるケースが広がりました。これまで「103万円の壁」を意識して働き方を調整していた方も、123万円までは配偶者の側で扶養控除を受けられます。
ただし、配偶者本人の社会保険料負担(106万円・130万円の壁)は税制改正とは別の論点なので、勤務先の制度や社会保険加入条件を別途確認する必要があります。
大学生年代(19〜22歳)の子を扶養している世帯
特定親族特別控除の新設により、子のアルバイト収入が123万円を超えても、188万円までは段階的に控除が受けられる仕組みになりました。これまでは「123万円を超えると扶養控除63万円が一気にゼロ」という設計でしたが、改正後は所得に応じて控除額が逓減する形に変わっています。
子が学費・生活費のためにアルバイトで多めに稼ぐ場合でも、扶養控除がいきなり消える「崖」の影響は緩和される方向です。
給与収入190万円以下の方
給与所得控除の最低保障額の引き上げ(55万円→65万円)で控除額が増えるのは、給与収入190万円以下の方です。給与収入162万5千円以下なら控除額が改正前の55万円から65万円へ10万円増えます。住民税は所得割が標準10%なので、課税所得が10万円下がる分、2026年6月以降の住民税が年間1万円程度軽減されます。給与収入162万5千円超〜190万円以下の方は、改正前の控除額がもともと55万円を上回るため増加額は10万円より小さく、軽減幅もその分小さくなります。所得税側の控除引き上げによる減税分は、2025年12月の年末調整ですでに精算済みです。
給与収入190万円超の方
給与収入が190万円を超える方は給与所得控除の最低保障の対象外ですが、所得税側の基礎控除引き上げの恩恵は受けています。ただしこれは2025年12月の年末調整で精算済みのため、2026年6月の住民税には反映されません。住民税は前年所得に対して所得割が標準10%で課される設計のため、前年より収入が増えていれば、その増加分の概ね10%が住民税に上乗せされ、6月以降は5月までと比べて手取りが減ります(減る幅は収入の増加分に応じて変わります)。
5. 手取りを活かすためにできること
住民税の年度切り替えと税制改正で手取りが動くタイミングは、家計を見直す好機です。以下の3方向から手を打てます。
① 投資の枠を使って資産形成と節税を同時に進める
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。加入対象は20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者で、職業を問わず利用できます。新NISAは運用益が非課税で、クレカ積立を使えば積立金額に応じたポイント還元も得られます。手取りが動いたタイミングで月々の積立額を見直すと、長期の資産形成と節税を両立しやすくなります。
② 固定費の支払いをクレカに集約してポイント還元を得る
毎月の固定費(通信費・光熱費・保険料・サブスク)の支払いをクレジットカードに集約するだけで、年間で見ると無視できない還元額になります。たとえば月5万円の固定費を1%還元のカードで支払えば、年間6,000円分のポイントが戻ってきます。手取りが減る方向に動いた場合の補填策としても、固定費の支払い方の見直しは効果が出やすい領域です。
③ 自分の生活圏に合うポイント経済圏を選ぶ
楽天・PayPay・Vポイント・dポイント・au/Ponta など、ポイント経済圏ごとに対応サービスや還元率の仕組みが異なります。普段使うサービス(通信会社・ネットショッピング・コンビニ)に合わせて経済圏を1つに絞ると、ポイントが分散せず実質的な家計改善につながります。
6. 2027年以降の見通し
令和7年度税制改正は2026年6月の住民税で初めて反映されましたが、今後さらなる改正も予定されています。
- 所得税の基礎控除の縮小予定:合計所得金額132万円超〜655万円以下の層では、令和7・8年分は加算上乗せがありますが、令和9年分以後は基礎控除が58万円に揃う設計です。2027年(令和9年)以降の所得税は控除額が変わる可能性があります
- 令和8年度税制改正大綱の動向:物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設などが令和8年度税制改正大綱(令和7年12月26日閣議決定)で示されています。施行された場合、2027年以降の手取りにも影響する可能性があります
住民税は前年の所得に対して後払いで反映される仕組みのため、今年の動きが翌年以降の家計にも続きます。控除の活用や固定費の見直しは、単年の対策ではなく数年スパンの家計設計として考えると効果が大きくなります。
7. よくある質問
2026年6月から手取りが減りました。税制改正で減税のはずでは?
所得税の基礎控除の引き上げは、いつ手取りに反映されましたか?
住民税の基礎控除も引き上げられたのですか?
大学生の子のアルバイト収入が140万円ありますが、扶養から外れますか?
住民税決定通知書はどこで確認できますか?
8. まとめ
2026年6月の手取り変化は、「毎年6月の住民税年度切り替え」と「令和7年度税制改正の住民税への反映」という2つの要因が重なった結果です。
給与収入190万円以下の方や、配偶者・大学生年代の子を扶養している世帯では、改正の恩恵で手取りが増える方向に動きます。給与収入190万円超の方は、所得税側の基礎控除引き上げで2025年12月にすでに恩恵を受けており、2026年6月の住民税は前年所得をベースに計算されるのが基本です。
手取りが動いたタイミングは、家計を見直す好機です。控除の活用・固定費の最適化・ポイント経済圏の選択を組み合わせれば、年間で見て数万円単位の家計改善が見込めます。まずは自分が使えそうな改善策から、1つずつ手を付けていきましょう。
家計改善の入口として、毎日の支払いに使うメインカードとサブカードの組み合わせを整えると、固定費・日用品・特定店舗での還元を底上げできます。
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