【2026年10月改正】ふるさと納税で変わる4つのポイント|返礼品ルールの厳格化と寄附者ができる備え
※ 2026年7月時点の情報です
「2026年10月からふるさと納税のルールがまた変わるらしい」。そんな話を耳にして気になっている方も多いのではないでしょうか。総務省は令和7年6月24日にふるさと納税の指定基準の改正等についてを発表し、2026年10月から始まる指定対象期間(令和8年度指定)で複数の見直しが適用されます。あわせて、2026年3月には寄附金活用可能額(寄附金のうち地方団体が活用できる財源)の割合を60%以上とする告示改正も公布され、こちらは2026年10月から段階的に始まる仕組みとして加わりました。2025年10月のポータルサイト独自ポイント禁止に続く制度改正で、寄附者にとっては返礼品ラインナップや実質的な還元感に影響しそうな内容です。
この記事では、公表資料をもとに寄附者に影響が大きいポイントを整理し、10月改正前にできる備えを紹介します。
1. 2026年10月改正の全体像
2026年10月からの見直しは、大きく2つの流れがあります。
1つ目は、総務省が発表したふるさと納税の指定基準の改正等について(令和7年6月24日)で示された5つの見直しです。
- ①「広報目的基準」の明確化:地方団体の広報目的で提供する返礼品に、実績・計画の要件を追加
- ②「付加価値基準」の算出方法の明確化:区域内で価値の過半が生じたことの証明と一覧公表
- ③ 返礼品等の調達費用の妥当性確保:一般販売価格を証明書に記載し、合理的な理由なく高額で調達しないことを求める
- ④ 募集費用の透明性向上:1支払先あたり100万円以上の募集費用について支払先・支払額・支払目的を公表
- ⑤ 返礼品確認事務の効率化:直近で基準不適合がなかった自治体は、指定手続の一部書類提出を省略
このうち①②③⑤はR8指定(R8年10月)から適用され、④はR7年度の募集費用(R8年9月に公表)から適用されます。⑤は自治体側の事務効率化が主で、寄附者への直接的な影響は限定的です。
2つ目は、いわゆる「経費率の5割ルール」まわりの見直しです。これまで募集費用の総額を寄附額の5割以下に抑える基準として整理されていましたが、令和8年3月に公布された告示改正で、寄附金活用可能額(寄附金の合計額から募集に要する費用を控除して得た額)が寄附金の合計額の60%以上となるように地方団体が対応する仕組みに置き換わります。しかも、この基準は一度に60%へ引き上げるのではなく、段階的に適用されます。
つまり、募集費用側から見ると、寄附額に対して募集費用に使える割合の上限が5割から段階的に4割へ絞られていく形になります。総務省は令和8年4月1日付の通知でも、ポータルサイト事業者など外部の事業者に支払う手数料等を見直すよう地方団体に求めています。
なお、ふるさと納税の募集に要する費用は5千億円を超える規模、返礼品の確認件数はR6年度指定時に約100万件と、制度は年々巨大化しています。今回の改正は、この規模拡大に対応して「地場産品と言えるのか」「調達価格は妥当か」「募集費用の水準は妥当か・透明か」という角度からルールを引き締める内容と読み取れます。
3つ目として、直接2026年10月から適用される話ではありませんが、令和8年度税制改正大綱では、高所得者の特例控除額の定額上限(193万円、給与収入1億円相当)を設けることも盛り込まれています。適用は令和9年寄附分から(2028年度個人住民税から)で、給与収入1億円を超えるような高所得層は寄附上限額の設計を見直す時期がやってきます。一般的な会社員の寄附上限額には直接影響しない改正ですが、報道の見出しで混同されやすいので押さえておくと安心です。
寄附者への影響が大きい4つのポイントは、①寄附金活用可能額の段階的引き上げ(上の全体像で触れたとおり、募集費用側の上限が5割から段階的に4割へ絞られる)、②返礼品の地場産品基準の厳格化、③返礼品の調達費用の妥当性確保、④募集費用の透明化、の4つです。①はここまでで触れたとおりなので、以下では②〜④の3つを次章から順に詳しく見ていきます。
2. ポイント①:返礼品の地場産品基準が厳格化される
1つ目のポイントは、返礼品として認められる「地場産品」の基準の明確化です。今回の見直しは、①広報目的基準と②付加価値基準の2つに分かれます。
① 広報目的基準:区域外製品を「市名記載だけ」で扱うことに歯止め
現状では、区域外で製造された製品等について、市町村名等が記載されているだけで「広報目的基準」を満たす返礼品として認められうる仕組みになっていました。総務省の資料では、ご当地ゆるキャラのぬいぐるみなどが本来の広報目的の返礼品として想定される一方、団体のロゴが入ったキャンプ用テントや、市名が入った他地域のビールなど、広報目的として疑義がある事例が確認されたとしています。
2026年10月指定から、広報に活用されているかの判断基準として、直近1年間の広報目的での自ら調達・配布・販売の実績があり、指定対象期間における返礼品提供数がその配布・販売の実績数量を超えないこと、または当該対象品目を広報の目的で自ら調達・配布・販売する計画を定めていることが求められます。返礼品の提供そのものは「広報の目的」に含まれません。
② 付加価値基準:区域内で「価値の過半」が生じたことを証明・公表
製品等の返礼品については、区域内で「相応(過半)の付加価値が生じている」ことが要件ですが、付加価値の算出方法が地方団体によって様々で、同じ製品等について複数の団体が自らの地場産品と主張できてしまう状況が課題として挙げられていました。
見直し後は、付加価値割合の算出方法について価格に基づく算出を原則とし、製造・加工品等の返礼品について、当該返礼品の製造等を行う者が「価値の過半が区域内で生じた」ことを証明するとともに、返礼品提供開始日までに地方団体がその証明事項を一覧で公表することが求められます。
寄附者にとってどうなる?
見直しの狙いは「地場産品と主張することに疑義がある返礼品」を絞ることにあります。基準を満たせなくなる製品等は返礼品ラインナップから外れる可能性があり、10月以降にラインナップの入れ替わりが起きやすい時期になると考えられます。とくに「他地域で製造された製品に市名を記載しているタイプ」や、「区域内での工程が限定的な加工品」は影響を受けやすい類型です。ただし、対象になる具体的な返礼品は各自治体・ポータルサイトの判断次第で、現時点で個別品目を断定することはできません。
3. ポイント②:返礼品の調達費用に「妥当性」の目が入る
2つ目のポイントは、返礼品を仕入れる際の「調達費用」に妥当性の目が入ることです。総務省の資料では、返礼品取扱事業者等が一般に販売する小売価格に比べ相当程度高額なケースがあることが確認されたとしています。
資料に例として挙げられているのは、海外から6万円で輸入したワインを、一般顧客には8万円で販売している事業者が、返礼品としては12万円で自治体に納品するというケースです。倉庫での保管に付加価値が生じるとしても、一般販売価格(8万円)と大きく乖離した調達価格(12万円)で仕入れが行われている構図です。
2026年10月指定から、「付加価値基準」に基づく返礼品については、「価値の過半が区域内で生じた」ことの証明に加え、一般販売価格も併せて証明書に記載し、それらの内容を公表することが求められます。あわせて、「合理的な理由なく、一般販売価格より高額で調達することがないようにすること」を別途通知予定とされています。
寄附者にとってどうなる?
同じ寄附額でも、返礼品の調達価格を市場の実勢に近づける圧力が働くと、自治体側が用意できる返礼品の還元感が今より抑えられる可能性があります。返礼品の調達費用は、返礼割合3割以下ルール(地方税法で定められた「返礼品等の調達に要する費用は寄附金の額の3割相当以下」の基準)のなかで計上される部分ですが、その計上根拠に一般販売価格ベースの妥当性チェックが加わる形になります。
具体的にどの返礼品がどの程度影響を受けるかは自治体・事業者ごとに異なるため、「実質還元率が一律で下がる」と決めつけることはできません。ただし、10月改正前後で同じ寄附額のラインナップに違いが出る可能性があるという意味で、事前に寄附プランを立てておく意味は大きいポイントです。
4. ポイント③:ポータル手数料など募集費用の内訳が公表される
3つ目のポイントは、自治体が支払う「募集費用」の透明性向上です。ふるさと納税の返礼品調達費用に加えて、ポータルサイト事業者への手数料、送料、広報費、決済手数料、事務費用など、寄附額のうち返礼品以外に使われるコストが「募集費用」として計上されます。
背景として、参議院・総務委員会の委員会決議(R7.3.31)でポータルサイトの運営事業者に対して地方公共団体が支払う手数料等の募集に要する費用が増加していることに鑑み、制度の趣旨をゆがめる不適切な運用などがないか調査することが求められていました。
見直し後は、R7年度の募集費用(R8年9月に公表)から、地方団体が「1支払先あたり100万円以上」の募集費用について、その支払先・支払額・支払目的を公表することになります。公表様式では、支払先ごとに調達・送付・広報・決済・事務・その他の目的別金額と合計額を明示する形式が示されています。
寄附者にとってどうなる?
自治体単位で「どのポータル事業者にいくら払っているか」「決済手数料はどのくらいか」が可視化されるため、寄附額のうちどれくらいが返礼品調達や地域施策に回っているかを、これまでよりも把握しやすくなります。ポータルサイトを選ぶ際の一つの判断材料が増えるとも言えます。ただし、集計期間や公表フォーマットの都合上、寄附者が実際に情報を確認しやすくなるかは、公表の運用次第という面もあります。
加えて、前述の寄附金活用可能額を60%以上とする段階的引き上げによって、自治体側にはポータル手数料などの募集費用を今より抑える圧力が働くことになります。この見直しに対応する過程で、返礼品ラインナップの調整や、ポータル手数料を圧縮するためのポータル横断でのキャンペーン設計の変化などが、寄附者側にも徐々に見えてくる可能性があります。
5. 寄附者が10月までにできる3つの備え
制度改正の内容を踏まえたうえで、寄附者側で今から取れる備えを3つ整理します。
① 気になる返礼品は寄附時期の分散を検討する
10月改正で返礼品ラインナップに変化が生じる可能性を踏まえると、「10月以降のラインナップを見てから決める」か「9月までに現行ラインナップから確保しておく」かは、寄附者ごとに判断が分かれるところです。寄附金控除の対象は「その年に支出した特定寄附金の額の合計額」を基準に計算されるため、控除上限額の範囲内なら、年内で寄附時期を分けて様子を見ることもできます。上限額に余裕があるなら夏〜初秋の段階で一部を先に寄附しておくのも選択肢です。
② 決済ポイントの積み上げを再確認する
2025年10月の指定基準改正でポータルサイト独自のポイント付与は廃止されたため、現時点で寄附額に対して付く還元は、クレジットカードなど決済手段に応じたものだけになっています。返礼品の実質的な還元感が抑えられる可能性を踏まえると、決済ポイントの積み上げ余地を確認しておくと、実質の負担感が変わってきます。ポータルとカードの組み合わせ方は改正前後で大きく変わらない部分なので、事前に整理しておく価値があります。
③ 自分の控除上限額を再計算する
改正で返礼品の内容が変わっても、控除される金額の計算式(自己負担2,000円を除いた寄附額が所得税と住民税から控除される)そのものは変わりません。年収や家族構成に応じた上限額の範囲内で寄附するのがおトク感を確保する基本です。転職・扶養家族の変化・住宅ローン控除の適用など、前年と条件が変わっている方は、改めて上限額をチェックしておきましょう。
6. よくある質問
2026年10月改正で経費率5割ルールは6割に上がるのですか?
改正の適用時期はいつからですか?
改正後、返礼品ラインナップはすぐに大きく変わりますか?
2025年10月改正(ポータル独自ポイント禁止)との違いは何ですか?
10月改正の情報はどこで確認できますか?
7. まとめ
2026年10月改正のポイントを寄附者目線でまとめると、次のとおりです。
- 返礼品の地場産品基準が厳格化:区域内で「価値の過半」が生じたことの証明・一覧公表が求められ、一部返礼品はラインナップから外れる可能性がある
- 返礼品の調達費用に妥当性の目:一般販売価格の記載・公表と、合理的理由のない高額調達を避ける通知が予定され、実質の還元感が抑えられる可能性がある
- 募集費用の透明性が向上:1支払先100万円以上の募集費用について支払先・支払額・支払目的の公表が始まり、寄附額の使われ方が見えやすくなる
- 寄附金活用可能額の段階的引き上げ:R8指定の52.5%からR11指定の60%へと段階的に引き上げられ、募集費用側の上限は5割から4割へ段階的に絞られる
従来の「5割ルール」は、寄附金活用可能額の割合を60%以上とする基準に置き換わって段階的に強化される改正と理解しておくと、報道の見出しに振り回されずに済みます。
寄附者側でできる備えは、寄附時期の分散・決済ポイントの再確認・控除上限額の再計算の3点です。とくに決済ポイントの積み上げは、ポータル独自ポイントが廃止された今、実質の還元感を確保する主要な経路として残っています。10月改正前に、自分の経済圏に合ったポータルとカードの組み合わせを整理しておくと、改正後の環境変化にも柔軟に対応しやすくなります。
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