カネナビ

2026年度の最低賃金はいくら上がる?目安・全国平均と『年収の壁』への影響を家計目線で解説

更新:
読了時間:約8分

※ 2026年10月時点の情報です

「今年の最低賃金はいくら上がるんだろう」「パートの働き方をどう調整すればいいのか」毎年7月下旬から8月にかけては、最低賃金の改定額が話題になる時期です。2026年度(令和8年度)は、厚生労働省の中央最低賃金審議会が2026年7月28日に全国加重平均で55円(4.9%)引き上げ・1,176円という目安を答申し、これを参考に各都道府県の審議会が実際の金額を決めました。その結果、2026年9月3日に沖縄県を最後に全47都道府県の答申が出そろい、全国加重平均は1,177円(前年の1,121円から56円引き上げ)で確定し、国の目安を1円上回りました。目安を上回ったのは33府県で、最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です。

この記事では、2026年度の最低賃金の目安がどう決まったのか、最低賃金がどう決まるのか、そして最低賃金の上昇が私たちの家計や「年収の壁」にどう影響するのかを、家計目線で整理します。

1. 2026年度の最低賃金、いまどうなっている?

まず結論から、現時点で分かっていることを整理します。

新しい金額は、都道府県ごとに2026年10月1日から12月2日にかけて順次発効しており、発効日は都道府県で異なります。2026年度は、実際の金額が各都道府県の答申で上下し、33府県で目安を上回りました。お住まいの都道府県の確定額と発効日は、厚生労働省の全国一覧で確認するのが確実です。

2. 最低賃金はどう決まる?目安と地方の関係

最低賃金がどう決まるのかを知っておくと、ニュースで出てくる「目安」と「実際の金額」の違いが理解しやすくなります。

最低賃金には全国一律の金額はない

ここでいう最低賃金は「地域別最低賃金」で、都道府県ごとに金額が異なります。使用者は、その地域で働く労働者に対して、この金額以上の時給を支払う義務があります(正社員・パート・アルバイトを問わず適用されます)。

「目安」→「地方の答申」→「10月ごろ発効」の順で決まる

改定は次の流れで進みます。

  1. 目安の提示:厚生労働省の中央最低賃金審議会が、都道府県をA〜Cの3ランクに分け、ランクごとの引き上げ額の目安を毎年夏に示します
  2. 地方での審議・答申:各都道府県の地方最低賃金審議会が、目安を参考にしつつ地域の実情を踏まえて実際の金額を決めます
  3. 発効:決まった金額が10月ごろから順次適用されます

大事なのは、中央が示すのはあくまで「目安」で、最終的な金額は地方の審議会が決めるという点です。近年は目安を上回る金額を答申する都道府県も多く、令和7年度は39道府県が目安を超える引き上げを決めました。目安が出た後も、実際の金額は地域によって上振れすることがあります。

3. 現行の最低賃金と過去最大の引き上げ

2026年度の議論を理解するために、まず直近の令和7年度(2025年度)の改定を押さえておきましょう。

令和7年度の改定では、全国加重平均が66円引き上げられ(前年度の1,055円→1,121円)、この66円という引き上げ幅は目安制度が始まった昭和53年度以降で最も大きいものでした。中央審議会が示した目安の段階では全国平均で63円の引き上げでしたが、地方の審議で上振れした結果、実際の引き上げ幅がさらに大きくなった形です。

都道府県別に見ると、最も高い東京都で1,226円、最も低い県で1,023円と、地域差があります。あわせて全都道府県で1,000円を超えました。

2026年度の目安は全国加重平均で55円(4.9%)の引き上げで、実際の答申では全国加重平均1,177円(56円引き上げ)と目安を1円上回りました。引き上げの方向は続いていますが、この56円という引き上げ幅は、前述の令和7年度の66円を下回っています。政府が2030年代前半までに全国平均1,500円を目指していることもあり、引き上げの流れ自体は続く見込みです。

4. 最低賃金アップが家計に与える影響

最低賃金が上がることは、時給で働く人の収入面ではプラスに働きます。ただし、家計全体で見ると注意したい点もあります。

時給が上がると、同じ働き方でも収入は増える

最低賃金の近くで働くパート・アルバイトの場合、時給が上がれば同じ労働時間でも月々の収入が増えます。増える金額は「時給の上がり幅 × 働く時間」で決まるため、働く時間が長い人ほど増加額は大きくなります。たとえば時給が60円上がって週20時間・月80時間ほど働くなら、月あたり4,000〜5,000円程度、収入が増える計算です(実際の増加額は勤務時間によって変わります)。

収入が増えると「年収の壁」に早く届く

一方で、時給が上がると同じ労働時間でも年収が増えるため、扶養の範囲内で働いている人は「年収の壁」に以前より早く到達します。壁を超えて社会保険料や税負担が発生すると、手取りが思ったほど増えない、あるいは一時的に減る場合があります。

このため、最低賃金の上昇は「時給が上がってうれしい」だけでなく、「働く時間をどう調整するか」を考え直すきっかけにもなります。次のセクションで、最低賃金と年収の壁の関係を整理します。

5. 最低賃金と『年収の壁』の関係

「年収の壁」は、超えると税金や社会保険の負担が発生する年収の境目のことです。壁にはいくつか種類があり、最低賃金の上昇と深く関わっています。

社会保険の壁(106万円・130万円)

社会保険にかかわる壁は大きく2つあります。

ここで最低賃金との関係が出てきます。この106万円の壁のうち「月8.8万円(賃金要件)」は、全ての都道府県で令和7年度の地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことなどを受けて撤廃する方針が示され、施行期日を定める政令(令和8年政令第275号)などの公布により、令和8(2026)年10月1日に施行されました。これは最低賃金が上がったことで、週20時間働けば多くの地域で月8.8万円に届くようになり、賃金の基準を設ける意味が薄れたためです。

ただし、これは「壁がなくなって自由に働ける」という話ではありません。賃金要件が撤廃されたことで、加入するかどうかの境目は「週20時間以上働くかどうか」という労働時間の条件に移りました。

社会保険の壁について、扶養を外れたときに手取りがどう変わるかは、次の記事で具体的な金額とともに整理しています。

もっと詳しく

最低賃金アップで年収が増える前に、社会保険の壁を超えると手取りがどう変わるかを確認しておきたい方はこちら

106万円・130万円の壁とは?社会保険の扶養を外れたときの手取りと家計への影響

税金の壁(103万円・160万円など)

年収が一定額を超えると、本人に所得税がかかり始めたり、扶養している家族の控除が変わったりします。この「税金の年収の壁」は、令和7年度・令和8年度の税制改正で境目そのものが動きました。最低賃金の上昇で年収が増えると、この税金の壁にも関係してきます。

もっと詳しく

自分や家族に所得税がかかり始める年収の境目が改正でどう変わったのかを知りたい方はこちら

103万円・160万円・178万円の壁とは?令和7・令和8年度税制改正で変わる『税金の年収の壁』と特定親族特別控除をわかりやすく解説

6. いま家計でできること

最低賃金の改定は毎年のことなので、金額が確定するのを待つ間にも、家計の側で準備できることがあります。

自分の働き方が「どの壁」に当てはまるか確認する

扶養の範囲で働いている場合、勤め先の規模・週の労働時間・月の賃金によって、先に当たる壁(106万円か130万円か)が変わります。まずは自分がどのケースに該当するかを把握し、時給が上がったときに年収がどう変わるかを見積もっておくと、働く時間の調整を落ち着いて判断できます。

手取りの変化の仕組みを知っておく

会社員・パートの手取りは、最低賃金だけでなく、住民税の年度切り替えや税制改正の影響でも変わります。「収入は増えたはずなのに手取りが思ったより増えない」と感じる背景には、こうした複数の要因が重なっています。

もっと詳しく

収入が増えても手取りが増えにくいと感じる理由を、住民税と税制改正の両面から知りたい方はこちら

2026年6月から手取りはどう変わる?基礎控除引き上げ・住民税新年度の影響を家計目線で解説

7. 今後の見通し

2026年度の最低賃金は、次のスケジュールで固まりました。

確定した金額は、お住まいの都道府県の金額を厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧で確認できます。この記事も、その後の発効状況に応じて内容を更新していきます。

8. よくある質問

2026年度の最低賃金はいくらになりますか?
全国加重平均で1,177円に決まりました(2026年10月から順次発効)。 2026年9月3日に全47都道府県の答申が出そろい、全国加重平均は前年の1,121円から56円引き上げの1,177円で確定 し、中央最低賃金審議会が示した目安(55円引き上げ・1,176円)を1円上回りました。 目安を上回ったのは33府県で、最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円 です。金額は都道府県ごとに異なるため、お住まいの都道府県の確定額は、厚生労働省の全国一覧でご確認ください。
今の最低賃金(全国平均)はいくらですか?
2026年度の改定額は全国加重平均で時給1,177円で、 2026年10月1日から12月2日にかけて順次発効 しています(発効日は都道府県で異なります)。改定前の2025年度(令和7年度)は、 前年度の1,055円から66円引き上げられた全国加重平均1,121円 で、この引き上げ幅は目安制度が始まった昭和53年度以降で最も大きいものでした。金額は都道府県ごとに異なり、2026年度は最も高い東京都が 1,280円 です。
最低賃金が上がると、扶養内で働く人は損をしますか?
損をすると決まっているわけではありませんが、働く時間を調整する必要が出る場合があります。時給が上がると同じ労働時間でも年収が増えるため、106万円・130万円などの年収の壁に早く到達します。壁を超えると社会保険料や税負担が発生し、手取りが思ったほど増えないことがあります。自分の働き方がどの壁に当てはまるかを確認し、労働時間を調整するか、壁を超えて働くかを判断するのがおすすめです。
最低賃金はパートやアルバイトにも適用されますか?
適用されます。 地域別最低賃金は、産業や雇用形態を問わず、その都道府県内で働くすべての労働者と使用者に適用される ため、正社員だけでなくパート・アルバイトにも最低賃金以上の時給が支払われる必要があります。
政府は最低賃金をどこまで上げようとしていますか?
2030年代前半までに全国平均1,500円 という目標が掲げられています。2026年度の全国加重平均1,177円からは、引き続き相当程度の引き上げが必要な水準で、当面は毎年の改定で段階的に近づけていく方針です。

9. まとめ

2026年度の最低賃金は、中央最低賃金審議会が2026年7月28日に全国加重平均で55円引き上げ(1,176円)の目安を答申し、これを参考に各都道府県が実際の金額を決めました。2026年9月3日に全47都道府県の答申が出そろい、全国加重平均は1,177円(前年の1,121円から56円引き上げ)で確定し、目安を1円上回りました(33府県が目安超え、最高は東京都1,280円・最低は宮崎県1,085円)。この56円という引き上げ幅は令和7年度の66円には及ばないものの、引き上げの流れは続いています。政府は2030年代前半までに全国平均1,500円という目標を掲げています。

家計目線で押さえておきたいのは、時給が上がると同じ働き方でも年収が増え、「年収の壁」に早く届くという点です。とくに扶養の範囲で働いている人は、106万円・130万円の壁や税金の壁との関係で、働く時間の調整を考え直すタイミングになります。まずは自分がどの壁に当てはまるかを確認し、時給が上がったときに手取りがどう変わるかを見積もっておきましょう。

次に読む

時給が上がったときの手取りを見積もるために、給与から何がどれだけ引かれて手取りになるのか、その内訳を押さえておきましょう

給与明細の読み方ガイド|手取り・控除・社会保険料の内訳を整理

こちらの記事もおすすめ

この記事と一緒によく読まれています