2026年度の最低賃金はいくら上がる?目安・全国平均と『年収の壁』への影響を家計目線で解説
※ 2026年7月時点の情報です
「今年の最低賃金はいくら上がるんだろう」「パートの働き方をどう調整すればいいのか」。毎年7月下旬から8月にかけては、最低賃金の改定額が話題になる時期です。2026年度(令和8年度)の引き上げ額の「目安」は、2026年7月24日時点でまだ取りまとめに至っておらず、労働者側が75円の引き上げを提示する一方で経営者側との隔たりが大きく、7月27日に改めて会合が開かれる見通しです。
この記事では、2026年度の最低賃金審議で今どこまで議論が進んでいるのか、最低賃金がどう決まるのか、そして最低賃金の上昇が私たちの家計や「年収の壁」にどう影響するのかを、家計目線で整理します。
1. 2026年度の最低賃金、いまどうなっている?
まず結論から、現時点で分かっていることを整理します。
- 現行の最低賃金:全国加重平均は時給1,121円(2025年10月から順次適用)です
- 2026年度の目安:厚生労働省の中央最低賃金審議会で審議中で、2026年7月24日時点では取りまとめに至らず、7月27日に再度会合を開いて月内の決着を目指す状況です
- 政府の目標:2030年代前半までに全国平均1,500円という目標が掲げられています
最低賃金は毎年10月ごろに改定されます。夏に中央の審議会が引き上げ額の目安を示し、それを参考に各都道府県が実際の金額を決める流れです。2026年度の具体的な金額はこれから固まっていくため、確定した数字は改定の答申が出そろってから確認するのが確実です。
2. 最低賃金はどう決まる?目安と地方の関係
最低賃金がどう決まるのかを知っておくと、ニュースで出てくる「目安」と「実際の金額」の違いが理解しやすくなります。
最低賃金には全国一律の金額はない
ここでいう最低賃金は「地域別最低賃金」で、都道府県ごとに金額が異なります。使用者は、その地域で働く労働者に対して、この金額以上の時給を支払う義務があります(正社員・パート・アルバイトを問わず適用されます)。
「目安」→「地方の答申」→「10月ごろ発効」の順で決まる
改定は次の流れで進みます。
- 目安の提示:厚生労働省の中央最低賃金審議会が、都道府県をA〜Cの3ランクに分け、ランクごとの引き上げ額の目安を毎年夏に示します
- 地方での審議・答申:各都道府県の地方最低賃金審議会が、目安を参考にしつつ地域の実情を踏まえて実際の金額を決めます
- 発効:決まった金額が10月ごろから順次適用されます
大事なのは、中央が示すのはあくまで「目安」で、最終的な金額は地方の審議会が決めるという点です。近年は目安を上回る金額を答申する都道府県も多く、令和7年度は39道府県が目安を超える引き上げを決めました。目安が出た後も、実際の金額は地域によって上振れすることがあります。
3. 現行の最低賃金と過去最大の引き上げ
2026年度の議論を理解するために、まず直近の令和7年度(2025年度)の改定を押さえておきましょう。
令和7年度の改定では、全国加重平均が66円引き上げられ(前年度の1,055円→1,121円)、この66円という引き上げ幅は目安制度が始まった昭和53年度以降で最も大きいものでした。中央審議会が示した目安の段階では全国平均で63円の引き上げでしたが、地方の審議で上振れした結果、実際の引き上げ幅がさらに大きくなった形です。
都道府県別に見ると、最も高い東京都で1,226円、最も低い県で1,023円と、地域差があります。あわせて全都道府県で1,000円を超えました。
2026年度も、労働者側は物価高や春闘の賃上げを踏まえて大幅な引き上げを求める一方、経営者側は中小企業の負担を理由に慎重な姿勢を示しており、労働者側が75円の引き上げを提示して隔たりが残っていると報じられています。政府が2030年代前半までに全国平均1,500円を目指していることもあり、引き上げの流れ自体は続く見込みです。
4. 最低賃金アップが家計に与える影響
最低賃金が上がることは、時給で働く人の収入面ではプラスに働きます。ただし、家計全体で見ると注意したい点もあります。
時給が上がると、同じ働き方でも収入は増える
最低賃金の近くで働くパート・アルバイトの場合、時給が上がれば同じ労働時間でも月々の収入が増えます。増える金額は「時給の上がり幅 × 働く時間」で決まるため、働く時間が長い人ほど増加額は大きくなります。たとえば時給が60円上がって週20時間・月80時間ほど働くなら、月あたり4,000〜5,000円程度、収入が増える計算です(実際の増加額は勤務時間によって変わります)。
収入が増えると「年収の壁」に早く届く
一方で、時給が上がると同じ労働時間でも年収が増えるため、扶養の範囲内で働いている人は「年収の壁」に以前より早く到達します。壁を超えて社会保険料や税負担が発生すると、手取りが思ったほど増えない、あるいは一時的に減る場合があります。
このため、最低賃金の上昇は「時給が上がってうれしい」だけでなく、「働く時間をどう調整するか」を考え直すきっかけにもなります。次のセクションで、最低賃金と年収の壁の関係を整理します。
5. 最低賃金と『年収の壁』の関係
「年収の壁」は、超えると税金や社会保険の負担が発生する年収の境目のことです。壁にはいくつか種類があり、最低賃金の上昇と深く関わっています。
社会保険の壁(106万円・130万円)
社会保険にかかわる壁は大きく2つあります。
- 106万円の壁:勤め先の社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する境目の一つ。従業員51人以上の企業で、週20時間以上・所定内賃金が月8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でない、といった要件をすべて満たすと加入対象になるため、年収換算で約106万円が目安になります
- 130万円の壁:家族の扶養(被扶養者)に入り続けられるかの境目。上記の加入要件を満たさない働き方の人に関係します
ここで最低賃金との関係が出てきます。106万円の壁のうち「月8.8万円(賃金要件)」は、全ての都道府県で令和7年度の地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことなどを受け、令和8(2026)年10月に撤廃される予定です。これは最低賃金が上がったことで、週20時間働けば多くの地域で月8.8万円に届くようになり、賃金の基準を設ける意味が薄れたためです。
ただし、これは「壁がなくなって自由に働ける」という話ではありません。賃金要件が撤廃されると、加入するかどうかの境目が「週20時間以上働くかどうか」という労働時間の条件に移る、と捉えるのが正確です。
社会保険の壁について、扶養を外れたときに手取りがどう変わるかは、次の記事で具体的な金額とともに整理しています。
税金の壁(103万円・160万円など)
年収が一定額を超えると、本人に所得税がかかり始めたり、扶養している家族の控除が変わったりします。この「税金の年収の壁」は、令和7年度・令和8年度の税制改正で境目そのものが動きました。最低賃金の上昇で年収が増えると、この税金の壁にも関係してきます。
6. いま家計でできること
最低賃金の改定は毎年のことなので、金額が確定するのを待つ間にも、家計の側で準備できることがあります。
自分の働き方が「どの壁」に当てはまるか確認する
扶養の範囲で働いている場合、勤め先の規模・週の労働時間・月の賃金によって、先に当たる壁(106万円か130万円か)が変わります。まずは自分がどのケースに該当するかを把握し、時給が上がったときに年収がどう変わるかを見積もっておくと、働く時間の調整を落ち着いて判断できます。
手取りの変化の仕組みを知っておく
会社員・パートの手取りは、最低賃金だけでなく、住民税の年度切り替えや税制改正の影響でも変わります。「収入は増えたはずなのに手取りが思ったより増えない」と感じる背景には、こうした複数の要因が重なっています。
7. 今後の見通し
2026年度の最低賃金は、次のスケジュールで固まっていく見込みです。
- 2026年7月下旬:中央最低賃金審議会が引き上げ額の目安を取りまとめる見通し(7月27日に再度会合を開き、月内の決着を目指すと報じられています)
- 2026年8月:各都道府県の地方最低賃金審議会が、目安を参考に実際の金額を答申
- 2026年10月ごろ:新しい最低賃金が順次発効
確定した金額は、地方の答申が出そろう8月以降に、お住まいの都道府県の金額を厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧で確認できます。この記事も、目安・答申が出た段階で内容を更新していきます。
8. よくある質問
2026年度の最低賃金はいくらになりますか?
今の最低賃金(全国平均)はいくらですか?
最低賃金が上がると、扶養内で働く人は損をしますか?
最低賃金はパートやアルバイトにも適用されますか?
政府は最低賃金をどこまで上げようとしていますか?
9. まとめ
2026年度の最低賃金は、2026年7月時点で目安を審議している最中です。現行の全国加重平均は時給1,121円で、前年より66円引き上げられた過去最大の改定に続き、2026年度も引き上げの流れが続く見込みです。政府は2030年代前半までに全国平均1,500円という目標を掲げています。
家計目線で押さえておきたいのは、時給が上がると同じ働き方でも年収が増え、「年収の壁」に早く届くという点です。とくに扶養の範囲で働いている人は、106万円・130万円の壁や税金の壁との関係で、働く時間の調整を考え直すタイミングになります。まずは自分がどの壁に当てはまるかを確認し、時給が上がったときに手取りがどう変わるかを見積もっておきましょう。
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