高校授業料無償化はいつから?2026年度の所得制限撤廃と私立支援拡大で家計はどう変わる
※ 2026年7月時点の情報です
2026年(令和8年)4月1日から、高等学校等就学支援金制度の新しい仕組みがスタートしました。いわゆる「高校無償化」と呼ばれる改正で、所得制限が撤廃され、多くの生徒が授業料の支援を受けることができるようになりました。
「いつから始まった?」「うちの世帯は対象?」「公立と私立で支援額はどれくらい違う?」「授業料以外もタダになるの?」——子どもが中学生・高校生の家庭にとって関心の大きい改正です。文部科学省の公式資料をもとに、新制度の内容と家計への影響、そして教育費の準備として家計でできることを順に整理します。
1. 2026年4月から始まった高校無償化の3つのポイント
新制度の家計目線でのポイントは、(1)所得制限の撤廃、(2)私立高校の支給上限額の引き上げ、(3)対象校種が幅広く設定されていること、の3つです。
ポイント1:所得制限の撤廃(年収910万円以上の世帯も対象に)
旧制度(令和2〜7年度)では、世帯年収が910万円以上の場合は就学支援金の対象外でした。新制度では所得制限が撤廃され、年収にかかわらず支給対象になりました。これまで支援を受けられなかった年収910万円以上の世帯も、新たに支給対象として加わったことになります。
ポイント2:私立高校(全日制)の支給上限額が45万7,200円に
新制度の支給上限額(年額)は、公立高校で11万8,800円、私立高校(全日制)で45万7,200円です。旧制度では私立高校(全日制)の上限は39万6,000円(年収590万円未満世帯)でしたが、新制度では全世帯共通で45万7,200円に引き上げられました(6万1,200円ぶんの引き上げ)。私立高校(通信制)の上限は33万7,200円です。
ポイント3:対象校種は高等学校だけではない
新制度は高校だけでなく、中等教育学校(後期課程)、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(1〜3年)、専修学校高等課程、専修学校一般課程および各種学校のうち国家資格者養成課程、海上技術学校も対象です。お子さんの進路によっては、高校以外のルートでも支援を受けられる可能性があります。
制度の経緯と法的根拠
この改正は、自民党・公明党・日本維新の会による令和7年10月29日および令和7年12月18日の三党合意に基づくもので、改正法は2026年3月31日に成立し、2026年4月1日に施行されました。令和8年度の予算規模は5,824億円(前年度予算額4,074億円)です。
なお、新制度では国と地方の役割分担が見直され、公立・私立高校等への支援金は国が3/4、都道府県が1/4を負担する仕組みに変更されました(旧制度では10/10を国が負担)。家計が受け取る支援金額の計算には直接影響しませんが、自治体の予算に関わる変更点として押さえておきましょう。
2. 公立高校の場合:支援額と授業料の関係
公立高校に通うお子さんがいる家庭にとって、新制度の意味合いを整理します。
公立高校全日制の支給上限額は年11万8,800円
新制度における公立高校全日制の支給上限額は年額11万8,800円(月額9,900円)です。この金額は旧制度から変わっていません。
公立高校全日制の支給上限額11万8,800円は、標準的な公立高校の授業料水準に合わせた金額です。そのため、所得制限が撤廃された新制度のもとでは、年収にかかわらず公立高校の授業料は実質無償になります。
旧制度との違いは「所得制限の有無」
公立高校の場合、新制度で変わったのは支給額そのものではなく、所得制限の有無です。旧制度でも公立高校に通う年収910万円未満の世帯は授業料の支援を受けていましたが、年収910万円以上の世帯は対象外でした。新制度ではこの所得制限がなくなったため、公立高校に通う世帯は年収によらず授業料の支援対象になります。
単位制の場合は単位あたりの単価で計算
公立高校全日制で単位制授業料を採用している学校の場合、支給上限額は1単位あたり4,812円(通算74単位、年間30単位まで)です。定時制(年額3万2,400円)・通信制(年額6,240円)の公立高校では、それぞれ別の単価が設定されています。
定時制・通信制・国立高校の場合
定時制・通信制の公立高校はもともと授業料が低額に設定されているため、支給上限額も低めです。国立高校についても、就学支援金(年額11万5,200円)と国による負担で実質無償とされています。
3. 私立高校の場合:支給上限の引き上げと残る自己負担
私立高校に通うお子さんがいる家庭にとっては、新制度の影響が大きく出る部分です。
私立高校全日制の支給上限額は年45万7,200円
私立高校(全日制)の新制度における支給上限額は年額45万7,200円(月額38,100円)です。文部科学省の公式資料では、この金額は「私立高校の平均授業料を勘案した水準」と説明されています。
旧制度との差分(世帯年収別)
旧制度では年収によって支給額が階段状に分かれていましたが、新制度では年収を問わず一律45万7,200円が上限になります。旧制度との差分を世帯年収帯ごとに整理すると次のようになります。
- 年収目安 590万円未満の世帯:旧39万6,000円 → 新45万7,200円(6万1,200円ぶんの引き上げ)
- 年収目安 590万円以上910万円未満の世帯:旧11万8,800円 → 新45万7,200円(33万8,400円ぶんの引き上げ)
- 年収目安 910万円以上の世帯:旧0円(対象外) → 新45万7,200円(新たに対象に)
旧制度との比較で見ると、もっとも家計への影響が大きいのは中所得帯(年収590万円以上910万円未満)と、これまで対象外だった年収910万円以上の世帯です。所得制限の撤廃と上限額の引き上げが重なるため、これまで私立高校の授業料を実費負担していた高所得世帯にとっても影響が大きい改正です。
平均授業料を超える私立高校では自己負担が残る
支給上限額の45万7,200円は「私立高校の平均授業料を勘案した水準」であり、実際の授業料が上限を超える学校では、その差額は自己負担として残ります。「無償化」という言葉のイメージから「私立も完全に無料になる」と受け取られがちですが、平均より授業料の高い私立高校では超過分の負担が残る点を押さえておきましょう。
たとえば年間授業料が60万円の私立高校に通う場合、新制度の支援額は上限の45万7,200円までで、差額の14万2,800円は自己負担になります。
私立通信制・定時制の場合
私立高校(通信制)の支給上限額は年額33万7,200円(月額28,100円)、私立高校(定時制)は年額45万7,200円(月額38,100円)です。通信制は授業料の標準額が全日制より低いため、支給上限額もそれに合わせて低めに設定されています。
4. 授業料以外にかかる費用と低所得世帯向け支援
「無償化」と言っても、対象になるのは授業料部分です。授業料以外の費用は基本的に各家庭の自己負担として残ります。
就学支援金の対象は「授業料」のみ
新しい就学支援金は高等学校等の授業料に充てるためのお金です。入学金、教科書代、制服代、教材費、修学旅行費、部活動費、PTA会費などは就学支援金の対象外で、各家庭の自己負担になります。
低所得世帯向けには「高校生等奨学給付金」がある
授業料以外の教育費負担を支援する仕組みとして、文部科学省は「高校生等奨学給付金」を別途用意しています。こちらは生活保護受給世帯や住民税所得割非課税世帯など、低所得世帯を対象に、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費、通信費等への充当を想定したお金です。
令和8年度からは、対象範囲がこれまでの非課税世帯(年収270万円未満)から中所得世帯(年収490万円まで)まで拡大されました。予算額も前年度152億円から令和8年度322億円へと2倍以上に増額され、あわせて国の補助割合が1/3から1/2へ引き上げられています。
給付額の目安は次のとおりです(年額)。
- 生活保護受給世帯:国公立3万2,300円、私立5万2,600円
- 非課税世帯(全日制等):国公立14万3,700円、私立15万2,000円
- 非課税世帯(通信制):国公立5万500円、私立5万2,100円
- 年収270〜380万円の世帯(全日制等・非課税世帯の1/3):国公立4万7,900円、私立5万670円
- 年収270〜380万円の世帯(通信制):国公立1万6,830円、私立1万7,370円
- 年収380〜490万円の世帯(全日制等・非課税世帯の1/4):国公立3万5,930円、私立3万8,000円
- 年収380〜490万円の世帯(通信制):国公立1万2,630円、私立1万3,030円
年収の目安は、両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)・中学生1人の4人世帯を想定した金額です。世帯構成によって実際の該当ラインは変わるため、詳細はお住まいの都道府県の案内で確認してください。
申請窓口は住んでいる都道府県(都道府県によっては学校経由でも可)です。学校から案内が来るため、対象世帯に該当する家庭は見落とさず申請しましょう。また、都道府県によっては就学支援金や奨学給付金に上乗せする独自の授業料補助・教育費支援を設けている場合があるため、お住まいの都道府県の追加支援もあわせて確認しておくと安心です。
公立でも家計の支出は残る
公立高校に通う場合でも、授業料以外の支出(教材費・修学旅行費・部活動費等)は発生します。学習費の総額は学校種別・家庭の状況によって差が大きいため、お子さんの進学先候補の学校が示す費用案内も合わせて確認しておくと安心です。
5. 教育費の準備として家計でできること
授業料の自己負担が大きく軽減される一方で、入学金・教材費・通学費・塾代、そして大学進学を視野に入れた教育費の準備は引き続き家計の課題として残ります。新制度を踏まえて家計でできることを整理します。
浮いた授業料分を教育資金に回す
新制度で授業料負担が軽くなった分を、そのまま生活費に溶け込ませず、教育資金として別口で管理する方法があります。家計から実際に浮く金額は、学校の実授業料と旧支援額・新支援額の差で決まり、世帯年収・進学先(公立か私立か)・実際の授業料水準によって変わります。授業料の自動引き落とし額が減った差分を、口座を分けて積み立てる仕組みにすると、教育費の準備に充てやすくなります。
NISAなどの非課税制度で長期積立を検討する
教育費は使う時期がある程度見通せる支出なので、計画的に積み立てる対象として向いています。新NISA(つみたて投資枠)を活用すれば、運用益が非課税になるメリットを受けながら長期で資産形成ができます。市場の値動きによって元本割れのリスクはあるため、使う時期・金額に応じて元本確保型の貯蓄と組み合わせる設計が大切です。
固定費を見直して教育費の積立原資をつくる
教育資金の積立余力は、毎月の固定費の状態に左右されます。通信費・保険料・サブスクリプションなど、毎月自動的に引き落とされる固定費はいったん契約を見直すと、その後ずっと支出が軽くなる効果があります。
ふるさと納税で実質負担なく日用品を確保する
ふるさと納税は税金の前払いで返礼品を受け取る仕組みなので、自己負担2,000円で食料品・日用品を確保すれば、家計の現金支出を抑えられます。浮いた現金を教育資金の積立に回す動線として活用しやすい制度です。
6. 今後の見通し(3年以内の制度検証)
新制度は始まったばかりですが、文部科学省の公式資料では今後の見直し方針も示されています。
法施行後3年以内に検証
文部科学省の公式資料には、新たな制度の検証については、法施行後、3年以内の期間に十分な検証を行った上で、必要な制度の見直しを実施と記載されています。施行が2026年4月のため、3年以内の検証は2029年3月までに行われる見通しです。三党合意(令和7年10月29日)では検証対象として収入要件、外国籍生徒・外国人学校の扱い、支給上限額、いわゆる便乗値上げの抑制策の実施による影響、特に地方や公立高校への影響が明記されており、これらの項目について3年以内に検証が行われます。
便乗値上げの抑制策
支給上限額の引き上げに合わせて、私立高校側が便乗して授業料を引き上げるのではないかとの懸念が指摘されてきました。この点について三党合意では、授業料等学納金に関する情報を国がインターネット上で一元的に確認できる仕組みを整備することと、私学助成を交付する場合の減額措置の基本的な考え方や規定例等を国が示し、合理性のない便乗値上げを防止する仕組みが整備されない都道府県には国からの私学助成に要する補助金を減額する仕組みが盛り込まれています。私立進学を検討する家庭にとっては、実際の授業料の推移を確認しやすくなる制度改善が想定されています。
私立高校の授業料水準との関係
私立高校の支給上限額(45万7,200円)は「平均授業料を勘案した水準」とされているため、今後私立高校全体の平均授業料がどう動くかによって、支給上限額の調整が議論される可能性があります。文部科学省は「私立高等学校等授業料等の調査結果」を毎年度公表しているため、私立進学を検討している家庭は最新の動向を合わせて確認しておくと参考になります。
制度の細部は学校・自治体経由で案内される
申請手続きや必要書類は、学校からの案内に従って手続きすることになっており、オンラインのe-Shienシステムでも申請ができます。学校からの案内が来たら、提出期限と必要書類(住民票の写しや在留カードのコピーなど、世帯の状況に応じた本人確認書類)を確認しましょう。
7. よくある質問
高校無償化はいつから始まりましたか?
うちは年収1,000万円ですが、私立高校でも支援を受けられますか?
私立高校の授業料は全額無料になりますか?
授業料以外の教科書代や修学旅行費も支援の対象ですか?
申請はどこですればいいですか?
8. まとめ
2026年4月から始まった高校授業料無償化(高等学校等就学支援金の新制度)のポイントを整理します。
- 施行日は2026年4月1日。所得制限が撤廃され、年収910万円以上の世帯も新たに支援対象に
- 支給上限額(年額)は公立11万8,800円、私立全日制45万7,200円、私立通信制33万7,200円
- 私立全日制は旧39万6,000円から新45万7,200円に引き上げ(6万1,200円ぶんの引き上げ)
- 支援の対象は授業料のみ。教科書代・修学旅行費等は対象外(低所得〜中所得世帯は高校生等奨学給付金を別途利用できる。令和8年度から対象が年収490万円まで拡大)
- 私立で平均授業料を超える学校は自己負担が残る
- 法施行後3年以内に制度の検証が行われる予定
授業料の負担が軽くなった分を生活費に紛れさせず、教育費の積立に回す家計設計をすることで、改正のメリットを最大限に活かせます。NISAでの長期積立や固定費の見直し、ふるさと納税といった家計の選択肢と組み合わせて、教育費の準備を進めていきましょう。
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