ボーナスの手取りはいくら?賞与の社会保険料・所得税の計算方法を解説【2026年版】
※ 2026年6月時点の情報です
「ボーナス〇〇万円って聞いていたのに、明細を見たら手取りはずっと少なかった」——夏のボーナス支給期になると、額面と手取りの差に驚く方が増えます。賞与からは、毎月の給与と同じように社会保険料と所得税が天引きされる仕組みです。
この記事では、賞与の手取りを計算するために必要な6つの控除項目(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・子ども・子育て支援金・所得税)の仕組みを、令和8年度の保険料率と国税庁の賞与に対する源泉徴収ルールに沿って整理します。
1. ボーナスの手取りは「額面の約8割」が目安
賞与の手取りは、額面のおよそ8割前後になるケースが一般的です。これは、賞与から差し引かれる社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など)と所得税の合計が、額面の2割前後に達することが多いためです。
ただし、引かれる金額は年齢(40歳以上は介護保険料が加わる)・前月の給与額・扶養親族の人数・住んでいる都道府県(協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なる)によって変わります。額面が同じでも、手取りに数万円の差が出るケースも珍しくありません。
仕組みを順に見ていきましょう。
2. 賞与から引かれる6つの項目
賞与から差し引かれるのは、以下の6つです(40歳未満は介護保険を除く5項目)。
- 健康保険料:会社員が加入する公的医療保険。協会けんぽ・健康保険組合などが運営
- 介護保険料:40歳〜64歳の方のみ。健康保険料と一緒に徴収
- 厚生年金保険料:会社員が加入する公的年金
- 雇用保険料:失業給付・育児休業給付などの財源
- 子ども・子育て支援金:2026年4月分から始まった新しい拠出金(医療保険料に上乗せ)
- 所得税:賞与額に応じて源泉徴収される
なお、住民税は賞与から引かれません。会社員の住民税は毎月の給与から1年(12回)に分けて天引きされる仕組みで、賞与は天引きの対象になっていないためです。ただし、賞与を含む前年の所得が翌年の住民税額に反映される点は別途あり、後の章で説明します(詳細は5. 住民税は賞与から引かれないを参照)。
3. 社会保険料の計算方法
社会保険料は「標準賞与額」に各保険料率をかけて計算します。標準賞与額は、実際に支払われた賞与額(税引き前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた額です。
健康保険料
協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なります。たとえば東京都の令和8年3月分以降の健康保険料率は9.85%で、事業主と被保険者が半分ずつ負担するため、本人負担分は4.925%です。
健康保険料には標準賞与額の上限が年度の累計額573万円(4月1日から翌年3月31日まで)と設定されており、累計が上限を超えた部分には保険料がかかりません。
介護保険料(40歳以上)
40歳から64歳までの方は、健康保険料に介護保険料が上乗せされます。協会けんぽの介護保険料率は令和8年3月分以降1.62%で、本人負担分は折半の0.81%です。
厚生年金保険料
厚生年金保険料率は18.3%で固定されており、本人負担分は折半の9.15%です。
厚生年金保険には標準賞与額の上限が1か月150万円と設定されており、上限を超えた部分には保険料がかかりません。健康保険とは上限のかけ方が異なる点に注意が必要です(健康保険は年度累計、厚生年金は1か月ごと)。
子ども・子育て支援金
2026年4月分から、医療保険料に上乗せする形で新しい拠出金が始まりました。協会けんぽの場合、令和8年4月分(5月納付分)以降の子ども・子育て支援金率は0.23%で、健康保険料と同様に労使折半のため、本人負担分は0.115%です。
雇用保険料
令和8年度の雇用保険料率(一般の事業)は労働者負担5/1,000=0.5%です。雇用保険には標準賞与額の上限はなく、賞与額(1,000円未満切り捨て前の総額)にそのまま料率がかかります。
本人負担分の合計(東京・一般事業の例)
東京の協会けんぽに加入する一般事業の会社員(40歳未満・介護保険対象外)の場合、本人負担分の社会保険料率は以下のとおりです。
- 健康保険:4.925%
- 子ども・子育て支援金:0.115%
- 厚生年金:9.15%
- 雇用保険:0.5%
- 合計:約14.69%
40歳以上(介護保険対象)の場合は、これに本人負担0.81%が加わり、合計は約15.5%となります。
いずれも標準賞与額(1,000円未満切り捨て)にかかる料率です。前のセクションで触れたとおり、健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金は1か月あたり150万円という標準賞与額の上限があり、上限を超えた部分には保険料がかかりません。賞与がこの上限を超える場合、額面に対する実際の負担割合は上記の合計よりも低くなります。
4. 所得税の計算方法
賞与の所得税は、毎月の給与とは違う計算方法を使います。国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で求めた率を、社会保険料控除後の賞与額にかけて計算します。
計算の流れ
国税庁の手順に沿うと、所得税の計算は次の3ステップです。
つまり、賞与の所得税率は「前月の給与額」と「扶養親族等の数」によって決まる仕組みです。同じ額面の賞与でも、前月給与が高い人ほど算出率が高くなる設計になっています。
前月給与の10倍を超える賞与の場合
賞与の金額が前月給与(社会保険料控除後)の10倍を超える場合や、前月に給与の支払がない場合は、月額表を使った別の計算方式が適用されます。詳細は国税庁No.2523を確認してください。
5. 住民税は賞与から引かれない
「ボーナスから住民税は引かれないの?」と疑問に思う方もいますが、会社員の住民税は前年所得に対する年間税額を、6月から翌年5月までの各月の給与から特別徴収(給与天引き)する仕組みです。この天引きは毎月の給与からのみ行われ、賞与は天引きの対象になっていないため、ボーナス支給月でも住民税の追加徴収はありません。
ただし、前年(1〜12月)の所得(賞与を含む)をもとに翌年6月から翌々年5月までの月々の住民税額が決まるため、賞与なしの場合と比べると、賞与を受け取った翌年6月以降の月々の住民税は賞与額に応じて上乗せされた金額になります。「賞与時には引かれないが、翌年6月以降の毎月の住民税に反映される」と理解しておくとよいでしょう。
6. 賞与50万円のときの計算例
具体的な数字でイメージをつかむため、以下の前提で計算してみます。
- 賞与額面:500,000円
- 加入:協会けんぽ(東京都)・厚生年金・雇用保険(一般事業)
- 年齢:30代(介護保険料の対象外)
- 標準賞与額:500,000円(1,000円未満切り捨て後)
- 前月給与(社会保険料控除後):30万円・扶養親族なしを想定
① 社会保険料の計算
| 項目 | 計算式 | 本人負担額 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 500,000円 × 4.925% | 24,625円 |
| 子ども・子育て支援金 | 500,000円 × 0.115% | 575円 |
| 厚生年金 | 500,000円 × 9.15% | 45,750円 |
| 雇用保険 | 500,000円 × 0.5% | 2,500円 |
| 社会保険料 合計 | 約73,450円 |
② 所得税の計算
賞与から社会保険料を引いた額は、500,000円 − 73,450円 = 426,550円です。この額に、前月給与と扶養親族数から決まる算出率をかけて源泉徴収税額を求めます。
前月給与(社会保険料控除後)30万円・扶養親族0人の場合、国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(令和8年分)甲欄の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」260千円以上309千円未満の行が該当し、賞与の金額に乗ずべき率は6.126%です。
源泉徴収税額 = 426,550円 × 6.126% = 約26,130円(1円未満切り捨て)となります。
③ 手取り
社会保険料と所得税を差し引いた残りが、賞与の手取りです。
500,000円 − 73,450円(社会保険料) − 26,130円(所得税) = 約400,420円
額面50万円の賞与から、社会保険料と所得税の合計約99,580円(額面の約19.9%)が引かれ、手取りは約40万円(額面の約80%)となります。
ただし、お住まいの都道府県の健康保険料率や前月給与・扶養親族の人数で実際の金額は変わるため、より正確な手取りは給与明細や勤務先の給与計算ソフトで自分の数字を確認するのが確実です。
7. ボーナスの手取りを活かすためにできること
ボーナスから差し引かれる社会保険料・所得税は、毎月の給与と同じ仕組みで決まっており、本人の意思で減らせる部分は限られています。とはいえ、手取りを「使い切らずに残す」工夫や、税優遇制度を活用する余地はあります。
① 新NISAで非課税の運用枠を活用する
新NISAは、運用で得た利益が非課税になる制度です。ボーナス全額をまとめて投資するのではなく、月々の積立額を増やす形にすると購入タイミングが分散し、長期の資産形成に向きます。証券会社によっては、クレジットカード払いで積立額に応じたポイント還元を受けられるサービスもあります。
② 固定費をクレカ払いに切り替えてポイントを取り戻す
通信費・光熱費・保険料・サブスクなど、毎月発生する固定費の支払いをクレジットカードに集約すると、年間で見て無視できない還元額になります。たとえば月5万円(年間60万円)の固定費を還元率1%のカードで支払えば、60万円 × 1% = 年間6,000円分のポイントが戻ってきます。ボーナスの手取りから貯蓄や投資に回す前に、月々の支出効率を高めておくと家計改善が続きます。
③ 自分の生活圏に合うポイント経済圏を選ぶ
楽天・PayPay・Vポイント・dポイント・au/Ponta などの主要なポイント経済圏は、対応サービスや還元率の仕組みがそれぞれ異なります。普段使うサービスに合わせて経済圏を1つに絞ると、ポイントが分散せず日常の買い物の還元が積み上がります。
8. よくある質問
ボーナスの手取りは額面の何割になりますか?
ボーナスから住民税は引かれますか?
賞与の所得税は毎月の給与と同じ計算ですか?
賞与の社会保険料には上限がありますか?
ボーナスがいくらまでなら扶養から外れずに済みますか?
9. まとめ
ボーナスの手取りは、額面から「社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険・40歳以上は介護保険・2026年4月からの子ども・子育て支援金)」と「所得税」を引いた残りで決まります。住民税は賞与からは引かれず、給与で12か月かけて天引きされます。
賞与の社会保険料は標準賞与額(1,000円未満切り捨て)に料率をかけて計算され、所得税は前月給与と扶養親族数から決まる算出率を使う点が、毎月の給与とは異なる特徴です。
手取りの仕組みが見えてくると、「今年のボーナスをどう配分するか」「来年以降の住民税にどう影響するか」が判断しやすくなります。日々の支払い方法や投資の枠の使い方を整えると、ボーナスを起点にした家計改善が継続的に効いてきます。
ボーナスの使い道全体を改めて整理したい方は、貯蓄・投資・固定費見直しの優先順位を解説した記事も参考にしてください。
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