【令和7年分】2026年の年末調整はここが変わる|基礎控除引き上げ・特定親族特別控除で申告書の書き方はどうなる?
※ 2026年7月時点の情報です
「令和7年度税制改正で年末調整が大きく変わるって聞いたけれど、自分の手取りには何がどう影響するのか」「大学生の子のアルバイト収入が123万円を超えたら、扶養から外れて年末調整で申告するものが変わるのか」。令和7年度税制改正では基礎控除と給与所得控除の最低保障が引き上げられ、19歳以上23歳未満の親族向けに「特定親族特別控除」が新設されました。これらの改正は令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。
この記事では、令和7年分の年末調整(令和7年11月〜12月)で初めて反映された税制改正のポイントを、国税庁の公表資料をもとに「何が変わったか」「申告書のどこに書くか」「家計にどう影響するか」の順で整理します。令和8年分年末調整(2026年11〜12月に実施予定)で追加される見直しにも触れます。
1. 令和7年分の年末調整で変わる4つのポイント
令和7年分年末調整のしかたで示された主要な変更点は次の4つです。
- ① 基礎控除の見直し:合計所得金額に応じた段階別の設計に変わり、合計所得132万円以下なら改正前の48万円から最大95万円に引き上げられました
- ② 給与所得控除の最低保障額の引き上げ:給与収入190万円以下の方について、最低保障が55万円から65万円に引き上げられました
- ③ 特定親族特別控除の新設:19歳以上23歳未満の親族(大学生年代の子など)の合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)の場合、扶養する側で段階的に最高63万円の控除が受けられる制度が新設されました
- ④ 申告書の書式変更:年末調整で提出する書類のうち、基礎控除申告書などが「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という兼用様式に整理されました
これらは2025年3月31日に参議院本会議で議決・同日公布された「所得税法等の一部を改正する法律」によるもので、令和7年12月1日以後に行う年末調整から新様式を使用します。令和7年11月30日以前に年末調整を行う場合には令和6年分の様式を補正して使用することになっています。
2. 基礎控除の見直し(最大95万円に引き上げ)
改正前の基礎控除は、合計所得金額2,400万円以下の方について一律48万円でした。改正後は、合計所得金額に応じて段階的に控除額が変わる仕組みに変わりました。
令和7年分の基礎控除額(合計所得金額別)
| 合計所得金額 | 改正前 | 令和7年分(改正後) |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 48万円 | 95万円 |
| 132万円超336万円以下 | 48万円 | 88万円 |
| 336万円超489万円以下 | 48万円 | 68万円 |
| 489万円超2,350万円以下 | 48万円 | 58万円 |
| 2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
合計所得金額132万円は、給与所得控除65万円を足すと給与収入200万円に相当します(給与収入190万円までは給与所得控除が一律65万円のため)。パート・アルバイトなど収入の少ない層ほど控除の拡大幅が大きくなります。合計所得金額132万円超〜489万円以下の階層は令和7年分から令和9年分までの3年間限定の特例加算で、令和10年分以後の扱いは令和8年度税制改正でも見直されました(詳細はセクション8: 令和8年分・令和9年分以降の見通しで整理します)。
年末調整の申告書での書き方
給与所得者が令和7年分の年末調整で基礎控除の適用を受けるには、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」のうち、「基礎控除申告書」欄に本人の合計所得金額の見積額を記入します。給与収入だけの方は、給与収入から給与所得控除額を差し引いた金額が合計所得金額の見積額になります。
3. 給与所得控除の最低保障が55万円→65万円に
給与所得控除は、給与収入から差し引かれる「必要経費」に相当する控除です。令和7年度税制改正で、給与収入190万円以下の方についての最低保障額が引き上げられました。
令和7年分の給与所得控除額
| 給与収入 | 改正前の控除額 | 令和7年分(改正後) |
|---|---|---|
| 162万5千円以下 | 55万円(最低保障) | 65万円 |
| 162万5千円超190万円以下 | 55万円〜65万円(給与収入に応じた計算式) | 65万円 |
| 190万円超 | 改正前と同じ計算式 | 改正前と同じ計算式 |
改正の対象は給与収入190万円以下の方で、給与収入190万円を超える方の給与所得控除額は令和7年分年末調整では変わりません。加えて、令和8年度税制改正で給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円にさらに引き上げられることが決まっており、令和9年1月1日以後に支払うべき給与等から適用されます(令和9年分年末調整以降に反映されます)。
給与所得控除は年末調整の計算で自動的に反映されるため、申告書に控除額を自分で書き込む必要はありません。ただし前セクションの基礎控除申告書には給与収入から給与所得控除を差し引いた「合計所得金額の見積額」を書くため、給与所得控除の計算式が変わったこと自体は基礎控除の判定にも影響します。
4. 特定親族特別控除の新設(19〜22歳の子・親族向け)
特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の親族(生計を一にする配偶者や青色事業専従者などを除きます)の合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)の場合に、扶養する側が受けられる新しい控除です。
段階別の控除額
| 特定親族の合計所得金額 | 給与収入相当 | 控除額 |
|---|---|---|
| 58万円超85万円以下 | 123万円超150万円以下 | 63万円 |
| 85万円超90万円以下 | 150万円超155万円以下 | 61万円 |
| 90万円超95万円以下 | 155万円超160万円以下 | 51万円 |
| 95万円超100万円以下 | 160万円超165万円以下 | 41万円 |
| 100万円超105万円以下 | 165万円超170万円以下 | 31万円 |
| 105万円超110万円以下 | 170万円超175万円以下 | 21万円 |
| 110万円超115万円以下 | 175万円超180万円以下 | 11万円 |
| 115万円超120万円以下 | 180万円超185万円以下 | 6万円 |
| 120万円超123万円以下 | 185万円超188万円以下 | 3万円 |
これまでは、大学生年代の子のアルバイト収入が扶養親族の所得要件(改正前48万円、令和7年分から58万円)を1円でも超えると扶養控除がゼロになる「崖」がありました。特定親族特別控除の新設により、給与収入123万円超188万円以下の範囲は所得に応じて段階的に控除額が下がる仕組みに変わり、子が学費・生活費のためにアルバイトを増やす際の税負担の急変が緩和されました。
年末調整の申告書での書き方
扶養する側の従業員(親など)が令和7年分年末調整で特定親族特別控除の適用を受けるには、勤務先に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」(前述の兼用様式)を提出します。申告書には特定親族の氏名・個人番号(マイナンバー)・住所・その年中の合計所得金額の見積額などを記載します。
5. 年末調整で提出する申告書の書式が変わった
前述のとおり、令和7年分の年末調整では、これまで別々だった書式が1つの兼用様式にまとまりました。国税庁が公表している令和7年分の様式は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という名称です。
会社員の方が令和7年分の年末調整で勤務先に提出する主な書類は次のとおりです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:扶養親族の情報を記載する書類(改正で扶養親族の合計所得金額要件も48万円→58万円に拡大しました)
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書:基礎控除の見積額・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告をまとめた新様式
- 給与所得者の保険料控除申告書:生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の申告
- (該当者のみ)給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
申告書は、給与の支払者(勤務先)が保管しておく形が原則で、税務署から求められた場合以外は税務署に提出する必要はありません。特定親族特別控除の申告漏れがないように、勤務先の年末調整担当者から書式の提出案内が来たら早めに記入して返送しましょう。
6. 年収別・世帯別で見る家計への影響
改正の組み合わせによる家計への影響は、世帯のパターンで変わります。
給与収入190万円以下の方
給与収入190万円以下の方は給与所得控除の最低保障が55万円→65万円に引き上げられ、加えて基礎控除も合計所得132万円以下(給与収入200万円相当)なら48→95万円に拡大します。この2つが組み合わさるため、令和7年分の所得税は改正前より軽くなります。
パート・アルバイトの主婦・主夫の方や、大学生年代の子でアルバイトをしている方が主な対象です。年末調整で還付される額が例年より増える、または源泉徴収されていた所得税が全額還付になるケースがあります。
大学生年代(19〜22歳)の子を扶養している世帯
子のアルバイト収入が123万円を超えても、188万円までは特定親族特別控除の対象になります。改正前の「103万円の壁」(改正で123万円に拡大)を子が超えても扶養している親側で控除が受けられるため、子が学費のためにアルバイトを多めに入れる際の家計への影響が緩和されます。
パートで働く配偶者がいる世帯
税制上、配偶者は「扶養親族」ではなく「同一生計配偶者」「控除対象配偶者」として別カテゴリで扱われますが、令和7年度税制改正では同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件がどちらも48万円→58万円に拡大しました。配偶者の給与収入が103万円〜123万円の範囲にある世帯では、同一生計配偶者の所得要件拡大により、これまで配偶者控除の対象から外れていた配偶者が対象に戻るケースが広がりました。配偶者控除・配偶者特別控除の詳しい境目は、関連記事の103万円・160万円・178万円の壁の解説記事で整理しています。
給与収入190万円超の方
給与収入190万円を超える方は給与所得控除の最低保障引き上げの対象外ですが、基礎控除の見直しの恩恵は合計所得489万円以下まで段階的に受けられます。合計所得489万円超2,350万円以下の方は基礎控除が58万円(改正前48万円から10万円増)となり、年末調整で控除額が10万円分拡大します。
7. 年末調整で反映されなかったときの対応
令和7年分年末調整の締切(勤務先ごとに異なりますが、多くは12月上中旬)に間に合わなかった場合や、特定親族特別控除の申告書を出し忘れた場合でも、翌年2月16日〜3月15日の確定申告で追加の還付を受けられる可能性があります。
確定申告のパターン
- 年末調整で申告済み・還付済み:追加の手続きは不要
- 年末調整で申告漏れがあった:翌年2〜3月の確定申告で追加還付
- 確定申告の期限(3月15日)を過ぎた:還付を受けるための申告(還付申告)は対象となる年の翌年1月1日から5年間提出できます(令和7年分なら2026年1月1日から)
年末調整で漏れる代表的なケースは、特定親族特別控除の対象になる子がいるのに申告書を出し忘れる、扶養親族の所得要件が48万円→58万円に拡大したことに気づかず扶養控除を申告しない、といったパターンです。源泉徴収票を受け取ったら、控除の見落としがないか一度確認しておきましょう。
8. 令和8年分・令和9年分以降の見通し
令和7年度税制改正はこれで完結ではなく、続く令和8年度税制改正でさらなる見直しが確定しています。所得税法等の一部を改正する法律案は2026年3月31日に参議院本会議で議決・同日公布、2026年4月1日施行されており、令和8年分年末調整(2026年11〜12月に実施予定)以降に順次反映されます。
- 基礎控除の特例加算の再設計:令和8年分・令和9年分は合計所得655万円以下の方を対象に、489万円以下なら+42万円・489万円超〜655万円以下なら+5万円が加算されます。令和10年分以後は加算対象が合計所得132万円以下の方のみとなり、+37万円が加算されます
- 給与所得控除の最低保障額の追加引き上げ:令和8年度税制改正で、給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円に引き上げられます(令和9年1月1日以後に支払うべき給与等から適用)
- 扶養親族等の合計所得金額要件の追加拡大:令和8年分以後の所得税について、同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件が現行58万円以下から62万円以下(給与収入で136万円以下相当)に引き上げられます
住民税側は令和8年度分(2026年6月徴収開始分)から令和7年度税制改正の反映が始まりました。手取り側の変化については、関連記事の2026年6月から手取りはどう変わる?の解説で年収別に整理しています。
9. 還付分を家計改善につなげる3つの方向性
年末調整で還付額が例年より増えたり、令和7年分以後の月々の所得税が下がったりした分は、家計改善の原資として計画的に使うと効果が長期に及びます。
① 固定費の支払いをクレカに集約してポイント還元を得る
毎月の固定費(通信費・光熱費・保険料・サブスク)の支払いをクレジットカードに集約するだけで、還元率1.0%のカードなら年間で見て数千円〜数万円のポイントが戻ってきます。手取りが増えたタイミングで支払い動線を整えると、還元の底上げが翌年以降も続きます。
② 自分の生活圏に合うポイント経済圏を選ぶ
楽天・PayPay・Vポイント・dポイント・au/Pontaなど、ポイント経済圏ごとに対応サービスや還元率の仕組みが異なります。普段使うサービス(通信会社・ネットショッピング・コンビニ)に合わせて経済圏を1つに絞ると、ポイントが分散せず実質的な家計改善につながります。
③ 新NISAで運用しながらクレカ積立のポイントも得る
年末調整の還付分をそのまま生活口座に置くと、生活費に紛れて使い切ってしまいがちです。新NISAの積立設定を1,000円単位で増やすだけでも、長期の資産形成につながります。クレカ積立にすれば積立金額に応じたポイント還元も併せて得られます。
10. よくある質問
令和7年分の年末調整は、いつから新しい様式で行いますか?
大学生の子のアルバイト収入が140万円ありますが、扶養から外れますか?
住民税の基礎控除も引き上げられましたか?
年末調整で特定親族特別控除の申告書を出し忘れました。取り返せますか?
令和8年分の年末調整(2026年11〜12月に実施予定)でも同じ様式を使いますか?
11. まとめ
令和7年分の年末調整では、令和7年度税制改正で見直された基礎控除(合計所得132万円以下で最大95万円)・給与所得控除の最低保障(55万円→65万円)・新設の特定親族特別控除(最高63万円)が初めて反映されました。加えて、年末調整で提出する申告書のうち、基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書が1つの兼用様式に整理されました。
改正の恩恵は、給与収入190万円以下の方や大学生年代(19〜22歳)の子を扶養している世帯、パートで働く配偶者がいる世帯で特に大きくなります。年末調整で申告し忘れた控除があった場合でも、翌年の確定申告や還付申告(対象となる年の翌年1月1日から5年間)で取り返せる可能性があります。源泉徴収票を受け取ったら、控除の見落としがないか一度確認しておきましょう。
年末調整で還付される額が例年より増えた場合、その分を家計改善の原資として計画的に使うと効果が長期に及びます。固定費のクレカ集約・ポイント経済圏の一本化・新NISAでの積立といった3方向から、還付分を活かす仕組みを整えてみてください。
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